
モンテッソーリについてよくある質問にお答えします。
モンテッソーリ教育は幼稚園・小学校受験に役立つ?

A
モンテッソーリ教育は、幼稚園受験や小学校受験のためにつくられた教育ではありません。
そのため、「モンテッソーリ教育を受けていれば受験に有利」「合格しやすくなる」とは言えません。
一方で、モンテッソーリの環境で日々経験する、自分で選ぶこと、集中して取り組むこと、自分で考えること、他者と生活することなどは、受験とは関係なく、子どもの発達にとって大切な経験です。
結果として、学校側が大切にしている力と重なる部分がある場合はありますが、「受験対策」と「モンテッソーリ教育」は分けて考えるのが適切です。
モンテッソーリ教育が目指しているのは「合格」ではありません
モンテッソーリ教育では、子ども自身の発達を中心に考えます。
3〜6歳の環境では、子どもが自分の興味に沿って活動を選び、自分のペースで取り組み、手を使って具体的に経験しながら学んでいきます。
AMI(国際モンテッソーリ協会)も、3〜6歳の環境について、子どもが自分で活動を選び、集中する力を育て、自立や自己効力感、社会性を発達させていくことを特徴として挙げています。
つまり、「試験で評価される子にすること」が目的なのではなく、子ども自身が考え、行動し、成長していけるようにすることが中心です。
「自分で選ぶ」経験は、日常の中で繰り返されます
モンテッソーリの教室では、大人が毎回「次はこれをしなさい」と決めるのではありません。
子どもは、教師から紹介された活動の中から、自分で取り組むものを選びます。
そして、始めた活動に集中し、必要なら繰り返し、終わったら元の場所へ戻します。
AMIでは、このような「限られた環境の中で自分で選ぶこと」をモンテッソーリ教育の重要な特徴として説明しています。
こうした経験は受験のために行うものではありませんが、自分で決めて行動することや、自分の意思を持つことにつながっていきます。
集中力や実行機能については研究もあります
モンテッソーリ教育については、近年さまざまな研究が行われています。
2023年に発表された系統的レビューでは、一定の基準を満たした32研究を分析した結果、モンテッソーリ教育は従来型教育と比較して、学業面と非学業面の両方で平均的に肯定的な結果が報告されました。
特に実行機能については、モンテッソーリ教育を受けた子どもに有利な結果が報告されています。
ただし、この研究は「受験に合格しやすくなる」ことを調べた研究ではありません。
また、モンテッソーリ教育の実践方法には施設ごとの差があり、研究結果にもばらつきがあります。
したがって、「モンテッソーリをやれば受験に強くなる」と読み替えることはできません。
受験には、受験に合わせた準備が必要なこともあります
幼稚園や小学校の入試内容は、学校によって大きく異なります。
面接、行動観察、制作、運動、言語や数量の課題など、何をどのように見るかはそれぞれです。
そのため、受験をする場合には、志望校がどのような考え方を持ち、どのような選考を行っているのかを確認する必要があります。
モンテッソーリ教育の時間を「受験問題の練習」に置き換える必要はありませんが、必要であれば家庭や受験教室などで、試験形式や当日の流れに慣れるための準備を別に行うことはあるでしょう。
「モンテッソーリの子は集団行動が苦手だから受験に不利」なの?
これも一概には言えません。
モンテッソーリの3〜6歳クラスは異年齢の子どもたちが一緒に生活する環境です。
子どもは一人で活動するだけでなく、順番を待つ、他の人の活動を邪魔しない、誰かと協力する、年下の子を助けるといった経験も日常的に重ねます。
AMIも、Practical Life(日常生活の活動)が自立だけでなく社会的な力を支えることや、3〜6歳の環境が子どもの社会性の発達を支えることを説明しています。
一方、研究では社会性について肯定的な傾向は報告されているものの、エビデンスの確実性は実行機能などに比べて低く、個人差もあります。
ですから、「モンテッソーリだから協調性が高い」「モンテッソーリだから集団行動が苦手」と、どちらかに決めつけるのは適切ではありません。
受験をするなら、子どもの発達と受験準備を混同しないこと
受験を考えているご家庭にとって、試験への準備が必要になることは当然あります。
でも、幼児期の生活すべてを「受験に役立つかどうか」という基準で見る必要はありません。
自分で靴を履く。
水を注ぐ。
一つの活動に集中する。
自分が何をしたいのか選ぶ。
困ったときには人に助けを求める。
他の人と同じ場所で生活する。
こうした経験は、試験のためではなく、その子自身がこれから生きていくための力を育てる経験です。
まとめ
モンテッソーリ教育は、幼稚園・小学校受験のための教育ではありません。
モンテッソーリ教育を受ければ受験に有利になる、合格しやすくなるという科学的根拠もありません。
ただし、自分で選ぶこと、集中すること、考えること、身の回りのことを自分ですること、他者とともに生活することなど、モンテッソーリ教育が大切にする経験の中には、学校側が大切にしている力と重なる部分もあります。
受験をする場合は、モンテッソーリ教育そのものを受験対策に変えるのではなく、子どもの発達を支える教育と、必要な受験準備をそれぞれ分けて考えるのがよいでしょう。
参考資料・出典
Association Montessori Internationale(AMI)「Montessori 3–6」
AMI公式 Montessori 3–6を見る
Association Montessori Internationale(AMI)「Choice」
AMI公式 Voices of AMI Trainingを見る
Randolph, J. J. et al. (2023).
“Montessori education’s impact on academic and nonacademic outcomes: A systematic review.”
Campbell Systematic Reviews.
論文全文を見る
※モンテッソーリ教育と幼稚園・小学校受験の合格率との関係を直接示す研究は、今回確認した資料にはありません。受験内容や選考基準は学校ごとに異なるため、志望校の公式情報をご確認ください。








