モンテッソーリについてよくある質問にお答えします。
モンテッソーリの教具(マテリアル)は何が特別なのですか?
A
モンテッソーリの教具(マテリアル)が特別な理由は、子どもの自然な発達を促進し、自主的な学びをサポートするために細かく設計されているからです。
いくつかの特徴を挙げますと
自己修正の機会:モンテッソーリの教具は、子どもが自分で間違いに気づき、修正できるよう設計されています。これにより、教師の介入なしに自主的な学習が可能です。
具体的な学び:抽象的な概念(数学や言語など)を、子どもが直接触れる具体的な物体を使って学べるように工夫されています。これにより、複雑な概念を直感的に理解できます。
段階的な難易度:教具は、子どもの発達段階に合わせて段階的に難易度が上がるように構成されており、成功体験を積み重ねながら少しずつ挑戦していけるようになっています。
美しさと秩序:教具は、子どもが興味を持ち、手に取りたくなるようなデザインや色使いで、秩序だった環境を維持しやすいようになっています。モンテッソーリ環境では、秩序が子どもの集中力や安定感に寄与すると考えられています。
独立性を促進:教具は、子どもが自分で選び、取り組み、片付けることができるような大きさや構造で設計されています。これにより、自立心や責任感が育まれます。
これらの特徴を通じて、モンテッソーリの教具は単なる学習ツールではなく、子どもの全体的な発達を支えるための重要な要素となっています。
ピンクタワーと茶色の階段は、モンテッソーリ教具の中でも特に象徴的で、感覚教育の一部として子どもの視覚的認識や空間的感覚を育てるために使われます。それぞれに特有の目的と役割があります。
ピンクタワー
目的:視覚的な大きさの違いを識別し、順序を認識する力を養うために使われます。
構造:ピンクタワーは、1立方センチメートルの立方体から10立方センチメートルの立方体まで、計10個の立方体で構成されています。全ての立方体は同じ色(ピンク)で、重さや材質も同じですが、大きさが異なります。
活動の流れ:子どもは一つずつ大きさの異なる立方体を取り、最も大きいものから小さいものへと順に積み上げてタワーを作ります。この活動を通して、視覚的に大きさの違いを学びます。また、手や目を使って注意深く作業することで、集中力や運動能力が養われます。
学び:
視覚的な識別: 大きさの違いを目で判断できるようになる。
順序とパターンの認識: 最も大きいものから小さいものへと順番に積み上げることで、論理的な順序の理解を深めます。
茶色の階段
目的:幅と高さの違いを理解し、感覚的な認識力を強化するための教具です。
構造:茶色の階段は、幅と高さが異なる10個の長方形の柱からなります。最も小さい柱は1×1×20 cm、最も大きい柱は10×10×20 cmです。全て同じ長さ(20 cm)ですが、幅と高さが異なります。
活動の流れ:子どもは最も太い柱から最も細い柱まで、順に並べて階段状に配置します。この過程で、目で見た情報を手で扱う能力が高まり、視覚と触覚の連携が育まれます。
学び:
幅と高さの識別: 形状の違いを識別し、異なる要素を比較できる力を育てます。
空間的な理解: 柱を正しい順序で並べることで、空間的な関係やバランス感覚が強化されます。
共通点と連携
共通点:ピンクタワーも茶色の階段も、視覚的な識別力を育てるために作られており、子どもはそれぞれの教具を使って、大きさ、幅、高さなどの異なる要素を学びます。また、これらを組み合わせて、塔を作ったり並べたりすることで、創造力や論理的思考をさらに発展させる活動も可能です。
秩序と美学:両方の教具は、秩序だった配置が求められるため、子どもは美的感覚や秩序感を自然と身につけます。
その他、教具
これらの教具は、感覚教育の基礎として、子どもの数学的・空間的な理解を深め、手先の器用さや集中力を養うことに大きく貢献します。
↓以下、モンテッソーリの教室で見かける教具をいくつか並べておきます。
写真提供:上野毛モンテッソーリこどものいえ「バンビーノ」
ことばを育てるえほん あいうえオノマトペ
出版社 : 河出書房新社
発売日 : 2021/4/21
言語 : 日本語
単行本 : 96ページ
ISBN-10 : 4309291376
ISBN-13 : 978-4309291376
寸法 : 19.1 x 1.4 x 17.9 cm