部屋を離れるときも、赤ちゃんに伝える? 見えなくなる前のひと言がつくる安心

そんな日常の出入りでも、離れる前に「タオルを取ってくるね。戻ってくるよ」と、赤ちゃんにひと言伝えてみましょう。
AMI(国際モンテッソーリ協会)の子育てサイト「Aid to Life」では、まだ話さない赤ちゃんにも、日々のお世話や体験していることを言葉で説明するよう勧めています。赤ちゃんが暮らしの中の出来事と言葉を結びつけていくためです。
この考え方を、部屋を出入りする場面にも取り入れてみましょう。
大人には「すぐ」でも、赤ちゃんには分からない
大人は、自分がどこへ行き、何をして戻るのかを知っています。でも、赤ちゃんにはその予定が分かりません。そばにいた人の姿が見えなくなることが、不安につながる時期もあります。
英国の公的医療機関NHSは、生後6か月頃から、親など身近な養育者と離れることへの不安が見られやすくなると説明しています。以前は平気だった子が泣くようになることもあり、その時期や強さには個人差があります。
「もう分かるはず」と期待しすぎず、今から起こることを短く知らせる。まだ後追いをしない小さな赤ちゃんにも、日常の声かけとして始められることです。
伝えるのは、行く先と戻ること
米国小児科学会の8〜12か月の発達についての記事には、別の部屋へ短時間移動するとき、行き先と戻ってくることを赤ちゃんに伝える、という具体的な助言があります。
たとえば、こんな言葉で十分です。
「隣の部屋にタオルを取りに行くね。取ったら戻ってくるよ」
背中を向けて歩きながら言うよりも、離れる前にいったん赤ちゃんへ顔を向けて話します。Aid to Lifeも、赤ちゃんは声を聞くだけでなく、大人の顔や口の動きを見ていることを踏まえ、向き合って話すよう勧めています。[Aid to Life「子どもと会話しましょう」]
赤ちゃんがすべての単語を理解したり、「いいよ」と返事をしたりするのを待つ必要はありません。実際にすることを、穏やかな声で短く伝えます。
声をかけても、泣くことはあります
伝えてから離れても、泣くことはあります。それだけで、声かけが間違っていたとは言えません。「戻ってくるよ」と聞くことと、離れている間も落ち着いて過ごせることには、まだ距離があります。
近くにいて声が届くなら、「ここにいるよ。タオルを取っているよ」と返してみましょう。NHSも、姿が見えないときに養育者の声が聞こえることは、安心の助けになるとしています。
声だけでは落ち着かず、強く泣いているときは、そばへ戻って様子を確かめます。言葉で説明したからといって、我慢させ続ける必要はありません。
もちろん、離れるのは赤ちゃんの安全を確保できる場所で、ごく短い間に。声かけが見守りの代わりになるわけではありません。手元にタオルやおむつをそろえ、行き来を減らす準備も役立ちます。
「戻ってきたよ」までを、ひと続きに
戻ったら、そのまま家事の続きを始める前に、赤ちゃんにも帰ってきたことを知らせましょう。
「戻ってきたよ。タオル、持ってきたよ」
英国のNHSが提供する子育て情報「Just One Norfolk」でも、離れる前に伝えること、離れている間に声で応じることに加え、戻ったときにも声をかけることが紹介されています。[Just One Norfolk「Separation Anxiety」]
言葉を聞き、大人が移動し、また顔を見せる。その繰り返しの中で、赤ちゃんは少しずつ、この日常の流れに親しんでいきます。安心は、ひと言だけで完成するものではありません。
まだ返事をしない赤ちゃんも、一緒に暮らす相手です。「行ってくるね」と「戻ったよ」。大人同士なら自然に交わす言葉を、赤ちゃんにも届けてみてください。
参考資料
- Aid to Life:「赤ちゃんと会話しましょう」「子どもと会話しましょう」
- American Academy of Pediatrics/HealthyChildren.org:「Emotional and Social Development: 8 to 12 Months」
- NHS:「Separation anxiety」
- Just One Norfolk:「Separation Anxiety」
赤ちゃんが過ごすモンテッソーリの環境を実際に見ながら、運動、食事、睡眠、ことばなど、この時期の発達と家庭での関わり方を学ぶ全3回のクラスです。
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