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「まだ遊びたい!」で帰れない。AMIが教える“15分前に知らせる”理由

「帰るよ」と声をかけた途端、
「まだ遊びたい!」
「帰らない!」

友だちの家や公園からなかなか帰れず、最後には泣いている子どもを抱きかかえて帰る——。

小さな子どもを育てていると、よくある場面ではないでしょうか。

実は、この悩みとほとんど同じ質問が、国際モンテッソーリ協会(AMI)の保護者向けサイト「Aid to Life」に掲載されています。

「制限の与え方についてよくある質問」の中で紹介されているのは、友人の家で楽しく遊んでいる娘が、帰る時間になると帰りたがらず、毎回泣いてしまうという相談です。

それに対してAid to Lifeが勧めていることのひとつが、
帰る15分前に、これから何が起こるのかを知らせておくこと。

ただし、ここは誤解しないようにしておきたいところです。
「15分前」という時間が、モンテッソーリ教育で一律に決められているわけではありません。

Aid to LifeのこのQ&Aでは、「友人宅から帰る」という具体的な場面に対して、15分前という目安が示されています。
大切なのは「15分」という数字そのものではなく、子どもに突然終わりを突きつけるのではなく、これから起こることを前もって知らせることなのです。

子どもにとって「突然、帰る」は本当に突然

大人には時計があります。
「もう16時だから帰ろう」
「夕食の準備がある」
「そろそろ電車に乗らないと」
と、このあとの予定まで見えています。

ところが、遊んでいる幼い子どもには、その予定は見えていません。

子どもは今、
砂を運んでいる。
友だちと遊んでいる。
何度も滑り台を滑っている。
積み木を作っている。

その活動の中にいます。

そこへ突然、
「はい、帰るよ」
と言われる。

大人からすると予定通りでも、子どもにとっては突然活動を終わらせられる出来事になってしまうことがあります。

Aid to Lifeでは、幼い子どもにとって「移行の時間」を理解することは難しく、そのため、これから何が起きるのかを理解できるようにすることが大切だと説明しています。

「あと15分で帰るよ」は、子どもに見通しを渡している

そこで、
「あと15分くらいしたら帰るよ」
と前もって知らせます。

これは、子どもを急いで帰らせるためのテクニックではありません。
これから起こることを、子どもが予測できるようにするための援助です。

Aid to Lifeの「明確な制限の与え方」では、子どもは何をしてよいのか、何をしてはいけないのかを知る必要があり、予測できる制限や枠組みは子どもに安心感を与えると説明されています。

「まだ遊んでいていい」
でも、
「この遊びには終わりがある」

この二つを同時に伝えるのが、事前の知らせなのです。

「15分後」が理解できているわけではない

もちろん、1歳半や2歳の子どもが、
「15分とはこれくらいの長さ」
と時計の時間を理解しているわけではありません。

それでも、
「もうすぐ終わりになる」
「次は帰る」
という流れを、繰り返し経験することはできます。

年齢によっては、
「あと15分だよ」
だけではなく、
「もう少し遊んだら、お家に帰ろうね」
「これが終わったら帰ろうね」
と、その子が理解しやすい言葉にすることもできます。

重要なのは、数字を理解させることではありません。
いきなり現在の活動を断ち切らないこと。
そこに意味があります。

時間が来たら、今度は大人が境界を守る

そして、ここがとても重要です。

事前に知らせることは、
「帰りたくなるまで待つ」
という意味ではありません。

Aid to Lifeでは、時間になったら「もうお家に帰る時間だよ」と伝え、友だちには「また今度会おうね」と言うことを勧めています。

つまり、
「あと15分で帰るよ」
と伝えたあと、時間になったら、
「帰る時間だよ」
と大人がその境界を守ります。

モンテッソーリ教育でいう「自由」は、何でも子どもの希望通りにすることではありません。

Aid to Lifeの「明確な制限の与え方」でも、何でも「いいよ」と許すことと、何でも「ダメ」と禁止することの両方を避け、分かりやすい枠組みをつくることが示されています。

自由には、分かりやすい限界があります。

今日は帰る時間になった。
そこは変えない。
でも、その中で子どもが自分でできることは残しておきます。

「帰る?」「帰らない?」ではなく、選べることを選ばせる

Aid to LifeのQ&Aが興味深いのは、その次です。

子どもが帰りたがらないとき、大人は「帰るかどうか」を子どもに決めさせるのではありません。
帰ることはすでに決まっています。

その代わり、
「車まで歩く? 抱っこにする?」
など、本当に子どもが選べるところで選択肢を与えます。

これは家庭でもとても使いやすい考え方です。

「帰る?」
と聞けば、
「帰らない」
という答えが返ってくるのは当然です。

帰ることが決まっているなら、
「帰る時間だよ」
でいいのです。

そして、
「靴は自分で履く? 手伝おうか」
「階段から行く? エレベーターにする?」
など、子どもが実際に決められる部分を渡します。

大人が決めることと、子どもが決められることを分ける。
これも、明確な制限をつくるうえで大切なポイントです。

すぐに動けなくても、少し待つ

もうひとつ、Aid to Lifeの回答で見落としたくないところがあります。

大人が、
「帰る時間だよ」
と言ったからといって、幼い子どもがすぐに気持ちを切り替え、すぐ行動できるとは限りません。

幼い子どもは、大人が期待するほど自分の衝動をコントロールできる段階にはまだありません。
大人から言われたことを受け取り、行動へ移すまでにも時間が必要です。

つまり、
「言ったのに動かない!」
とすぐに言葉を重ねるのではなく、子どもが言葉を受け取り、行動へ移すための時間も待つということです。

伝える。
待つ。
それでも難しければ、大人が静かに行動を助ける。

この順番です。

3歳未満には「長い説明」より行動を

幼い子どもには、言葉を重ねて延々と説得するよりも、大人が短く具体的に伝え、必要なときには行動で示すことが大切です。

「どうして帰らなきゃいけないかというとね……」
「これからご飯を作らなきゃいけないし……」
「また遊べるんだから今日は帰ろうよ……」

と説明を続けるほど、かえって境界が曖昧になることがあります。

「帰る時間だよ」
と短く伝える。

少し待つ。
必要なら手を差し出す。
それでも動けなければ、大人が一緒に「さようなら」をして帰る。

小さな子どもほど、短く、具体的に、そして必要なときには行動で示すことが大切です。

「まだ遊びたい!」をなくすためではない

15分前に知らせれば、子どもが二度と泣かなくなるわけではありません。

もっと遊びたければ、
「帰りたくない!」
と言う日もあるでしょう。

目的は、子どもの気持ちを消すことではありません。

「もっと遊びたい」
という気持ちがありながらも、
「今日はここで終わりなんだ」
という現実を少しずつ受け入れていく。

その経験もまた、自分自身を少しずつコントロールしていく力につながっていきます。

「15分前」の本当の意味

今回の「15分前に知らせる」という方法は、国際モンテッソーリ協会(AMI)の保護者向けサイト「Aid to Life」に掲載されている「制限の与え方についてよくある質問」の具体例から紹介したものです。

ですから、
モンテッソーリ教育では必ず15分前に知らせなければならない
という意味ではありません。

このQ&Aから読み取りたいのは、その奥にある考え方です。

突然終わらせない。
これから起こることを知らせる。
子どもが受け止める時間を待つ。
本当に選べるところでは選ばせる。
そして、大人が決めた必要な制限は一貫して守る。

子どもの気持ちを尊重することと、大人が境界を示すこと。
その二つは反対ではありません。

「あと15分くらいしたら帰るよ」

というひと言は、子どもに言うことを聞かせるためではなく、
子ども自身が、これから起こることに向かうための準備をする時間を渡している。

AMIのAid to Lifeが紹介する「15分前」には、そんなモンテッソーリの考え方が表れています。

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