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映画レビュー:『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』——女性として、母として、教育者として生き抜いた強さ

映画を観に行きました。
タイトルは『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』。
名前だけは知っている人も多いかもしれませんが、「モンテッソーリ教育」を生み出した彼女がどんな人生を歩んできたのか、深く知る機会はなかなかありません。この映画は、そんな彼女の知られざる半生を描いた史実に基づく伝記的なドラマ映画です。

歴史の中であまり語られることのなかったマリア・モンテッソーリの人生。
この映画では、彼女の教育メソッドの誕生の裏にあった苦悩、挑戦、そして希望が丁寧に描かれています。

印象的だったのは、彼女が女性であるという理由だけで数々の制限を受ける中、それでも「子どもたちの可能性を信じたい」という思いを原動力に前に進んでいく姿。その強さには、ただただ圧倒されました。

映画の中で描かれる「医学部に唯一の女性として入学し、障害のある子どもたちと出会い、教育の本質を模索する」という流れは、実際のモンテッソーリの歩んだ道と重なります。そして、彼女が未婚のまま息子マリオを出産し、長い間一緒に暮らせなかったという事実も、史実に基づいたもの。母としての想いと、社会的制約の狭間で揺れ動くその姿は、とてもリアルで胸が痛みました。

障害を持った子どもたちが、彼女の手によって生き生きと自分らしさを取り戻していく様子は、モンテッソーリ教育がただのメソッドではなく「子どもを見るまなざし」そのものであることを伝えてくれます。

そしてもう一つ心に残ったのは、最初は娘の存在を「迷惑」と感じていた母親が、子どもの変化を目の当たりにしながら、徐々に愛情を取り戻していく描写。これは創作の要素もあるかもしれませんが、観る人の心に優しく灯をともすようなシーンでした。

全体を通して、この映画が伝えてくれるのは「女性の生きる力」。
教育者として、母として、ひとりの女性として、社会の価値観や偏見と戦いながら、未来の子どもたちのために道を切り拓いていったモンテッソーリの生き様に、深い感動を覚えました。

あまり大きな映画館では上映されていないようですし、上映期間もそれほど長くはなさそうです。気になっている方は、ぜひ早めに劇場でご覧になってみてください。
きっと、何かを受け取れる映画です。


\ 映画情報 /

『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』
(原題:Maria Montessori)
・監督:レア・トッド・マルシャル
・出演:ジャスミン・トリンカ、レア・ドリュッケール ほか
・製作国:フランス、イタリア
・公開:2024年(日本公開:2024年3月)

・上映時間:100分
・配給:ロングライド
※全国順次公開中(上映館は少なめなので公式サイトでチェックがおすすめです)

デザイナー&モンテッソーリポータル「バンビーノ」編集長/池角貴也   広告デザイン会社、OL向け雑誌編集部、音楽雑誌編集部、WEB制作会社、映像制作会社勤務を経て、株式会社フラグメント(ホームページ制作会社)代表。
2020年9月世田谷区上野毛にて
上野毛モンテッソーリこどものいえ 「バンビーノ」オープンしました!
https://bambi-no.net/kodomonoie/
2020年AMI3-6モンテッソーリ教師アシスタント資格取得。
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