「モンテッソーリ」の名前だけで選んで大丈夫? ― 園や教材を見るときに知っておきたいこと

「モンテッソーリ園だから安心」
「モンテッソーリのおもちゃだから、子どもの発達によさそう」
そんなふうに商品や園を選んだ経験はありませんか?
最近では、「モンテッソーリ」という言葉を目にする機会が本当に増えました。
幼稚園や保育園だけではありません。幼児教室、おもちゃ、家具、知育教材、SNSの子育て情報まで、「モンテッソーリ」という名前はさまざまな場所で使われています。
モンテッソーリ教育を知る人が増えていること自体は、とてもうれしいことです。
しかし、ここで一つ知っておきたいことがあります。
「モンテッソーリ」という名前が書かれていることと、そこで行われていることがモンテッソーリ教育の考え方に沿っていることは、必ずしも同じではありません。
「モンテッソーリ」という名前は保護されていない
2026年8月14日、国際モンテッソーリ協会(AMI)のExecutive DirectorであるLynne Lawrence氏が、「Montessori or Monte Carlo」という記事を公開しました。
その中でLawrence氏は、「Montessori」という言葉そのものは保護されておらず、誤って使われる可能性があるという問題を取り上げています。
つまり、「Montessori」と名前につけたからといって、どこかの機関がその内容を確認してくれるわけではありません。
これは、園を探している保護者にとっては少し注意が必要なところです。
名前だけを見て、「ここならモンテッソーリ教育をしているんだ」と判断することは難しいのです。
おもちゃにも同じことが起きている
これは園だけの問題ではありません。
Lawrence氏は記事の中で、「Montessori」という言葉を販売上のアピールとして使う玩具メーカーについても問題を提起しています。
ネットショップで「モンテッソーリ おもちゃ」と検索すると、本当にさまざまな商品が出てきます。
木製ならモンテッソーリ?
指先を使えばモンテッソーリ?
知育玩具ならモンテッソーリ?
もちろん、その中には子どもにとってよい商品もたくさんあるでしょう。
でも、「よいおもちゃであること」と「モンテッソーリ教育の教材であること」は別の話です。
では、何を見ればいい?
では、園や教室を選ぶとき、何を見ればよいのでしょう。
資格名だけで判断するという話でもありません。
大切なのは、実際に子どもがどのように過ごしているかを見ることです。
子どもが自分で活動を選べるでしょうか。
自分の手を使って取り組める環境になっているでしょうか。
大人が一斉に指示する時間ばかりではなく、一人ひとりが集中できる時間があるでしょうか。
子どもが自分でできるように、家具や道具、活動が準備されているでしょうか。
先生はすぐに手を出すのではなく、子どもを観察しているでしょうか。
先生がどんな学びをしてきたのか聞いてみる
もう一つ、園や教室を選ぶときに聞いてもよいと思うことがあります。
「先生は、どこでモンテッソーリ教育を学ばれたのですか?」
決して失礼な質問ではありません。
モンテッソーリ教育には、教師養成のためのさまざまなコースや資格があります。
一方で、数時間の講座を受けた人から、長期間にわたり理論、教具、観察、実習などを学んだ教師まで、「モンテッソーリを学んだ」という言葉が指す範囲は非常に広くなっています。
大切な子どもが長い時間を過ごす場所です。
どのような考え方で環境をつくり、先生たちがどのような学びをしているのかを聞いてみることは、園選びの一つの手がかりになります。
モンテッソーリ園を見学するとき、どこを見ればいい?
「モンテッソーリ教育を取り入れています」と説明されたとき、教具が並んでいるかどうかだけでは、その園の教育はなかなか分かりません。
見学するときには、こんなところを見てみてください。
① 子どもが自分で活動を選んでいるか
全員が同じ時間に同じことをするだけではなく、子どもが自分で「これをやりたい」と活動を選び、取り組める時間があるでしょうか。
モンテッソーリ教育では、大人が次々と活動を与えるのではなく、子ども自身が環境から活動を選ぶことを大切にします。
② じっくり取り組める時間があるか
せっかく集中し始めたのに、「はい、おしまい。次は○○です」と頻繁に活動を中断されていないでしょうか。
子どもが自分で選び、繰り返し、満足するまで取り組めるまとまった時間が確保されているかは、大切なポイントです。
③ 子どもが「自分でできる」環境になっているか
棚や椅子、道具は子どもの身体に合っているでしょうか。
自分で取る。自分で運ぶ。自分で使う。使い終わったら自分で戻す。
大人に「やってもらう」ことを前提とするのではなく、子ども自身が生活に参加できる環境になっているかを見てみます。
④ 先生が「教え続ける人」になっていないか
先生がずっと大きな声で指示を出しているのか、それとも少し離れたところから子どもを観察している時間があるのか。
困っている子を見つけても、すぐに全部やってあげるのではなく、「どこまでなら自分でできるだろう」と見守っているか。
実は、教具以上に見てほしいところです。
⑤ 子どもが間違えても、すぐ大人が正解を教えていないか
「違うよ」
「そこじゃないよ」
「こうするんだよ」
と、そのたびに大人が修正してしまうと、子どもは自分で間違いに気づく機会を失ってしまいます。
モンテッソーリの教具や活動には、できるだけ子ども自身が間違いに気づけるような工夫があります。
失敗したときの先生の反応も、ぜひ見てみてください。
⑥ 異なる年齢の子どもが自然に関わっているか
モンテッソーリ教育では、異年齢の子どもたちが一緒に過ごす環境を大切にします。
小さい子が大きい子を見たり、大きい子が小さい子を手伝ったりする。
「先生から子どもへ」だけではない学びが、日常の中にあるかを見てみます。
⑦ 「先生はどこでモンテッソーリを学びましたか?」と聞いてみる
最後は、見ただけでは分からないことです。
「先生方は、どちらでモンテッソーリ教育を学ばれていますか?」と聞いてみてください。
資格の名前だけで園の良し悪しが決まるわけではありません。ただ、どのような教師養成や研修を受け、どの程度継続的にモンテッソーリ教育を学んでいるのかは、その園を理解するための大切な情報です。
そして何より、その質問に園がどのように答えてくれるかも見てほしいところです。
資格や研修について具体的に説明してくれるのか。教育方針について質問したとき、子どもの姿を交えながら話してくれるのか。
「モンテッソーリ」という看板だけでは見えない、その園の考え方が表れるところだと思います。
「本物か、偽物か」だけで分けなくてもいい
ただし、ここで気をつけたいことがあります。
「あそこは本物のモンテッソーリ」
「ここは偽物」
と、単純に線を引くことが目的ではありません。
実際の教育現場には、それぞれ事情があります。
園の制度や建物、職員配置、地域性などによって、理想的な環境をすべて実現することが難しい場合もあります。
大切なのは「100点のモンテッソーリか」を採点することではなく、その園や教室が、子どもの自立や発達を本当に理解しようとしているかを見ることではないでしょうか。
「モンテッソーリだから」ではなく、子どもを見る
「モンテッソーリ」という名前があるから選ぶのではなく、そこで子どもがどのように過ごしているかを見る。
自分で選んでいるか。
自分の手を使っているか。
集中しているか。
困ったとき、大人はどのように関わっているか。
そして少しずつ、「自分でできる」ことが増えているか。
看板を見るより、目の前の子どもを見る。
それが、「モンテッソーリ」という名前が広く使われるようになった今だからこそ、大切な園や教室の選び方なのかもしれません。
バンビーノでも、日本各地のモンテッソーリ園・保育園・幼児教室などを探せるリンク集を掲載しています。ただし、そこで紹介しているすべての施設について、実際の保育や教育の現場を訪問し、モンテッソーリ教育がどのように実践されているかまで確認できているわけではありません。基本的には、各施設が公開しているWebサイトなどの情報をもとに掲載しています。
そのため、バンビーノのリンク集に掲載されていること自体が、モンテッソーリ教育の内容や質を保証するものではありません。
園や教室を探すきっかけとしてリンク集を活用していただき、気になる施設が見つかったら、ぜひ実際に見学してみてください。そして、「モンテッソーリ」という名前だけではなく、環境、子どもたちの姿、大人の関わり方、先生方がどのようにモンテッソーリ教育を学んできたのかを、ご自身の目で確かめていただければと思います。
参考資料
Association Montessori Internationale
“Montessori or Monte Carlo”
14 August 2026
Lynne Lawrence, AMI Executive Director
AMI公式記事を見る
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