『月刊クーヨン』2026年10月号「かんしゃく」にだって理由があります 子どもの「やりたい!」を邪魔していませんか?
2026年9月3日に発売された『月刊クーヨン』2026年10月号。
表紙に大きく書かれているのは、「『かんしゃく』にだって理由があります 子どもの『やりたい!』を邪魔していませんか?」という言葉です。
子どもが自分で靴を履こうとしている。でも、なかなか履けない。
食事の準備を手伝いたがる。でも、こぼしたり、時間がかかったりする。
忙しい大人は、つい「やってあげたほうが早い」と手を出します。すると子どもは怒り、泣き、手伝おうとした大人を押し返すことがあります。
そんな姿を、わがままや困ったかんしゃくとして終わらせず、「この子は、何を自分でやりたかったのだろう」と考えてみる。
今号の巻頭では、横浜市鶴見区にある梶山モンテッソーリスクールの園長・河田敏子先生が、子どもの「自分でやりたい」を、日々の暮らしの中でどう支えたらよいのかを紹介しています。4ページから21ページまで、18ページにわたる読み応えのある特集です。
「できない子」ではなく、どこで困っているのかを見る
記事の出発点は、子どもに何をさせるかではなく、子どもを観察することです。
食事の準備をしたいのか。
自分でお茶を注ぎたいのか。
洗濯や着替えに関心があるのか。
そして、やろうとしている子どもが、どの場面で止まっているのかを見ます。
道具が重すぎるのかもしれません。置き場所がわからないのかもしれません。手順の途中で次にすることがわからなくなったのかもしれません。
できないから大人が代わるのではなく、困っている一部分を見つけて、必要なところだけを助ける。記事では、観察した子どもの姿から、環境や大人の援助を考えていく流れが紹介されています。
河田先生が伝える「暮らしの練習」は、靴を履く、手を洗う、服を畳む、食事を準備するといった、毎日の生活そのものです。
お受験やピアノ、英語など、子どもに何を習わせようかと考える前に、自分の身体を使って暮らしに参加することが、幼い子どもにとってどれほど豊かな学びになるのか。特集はそこから始まります。
環境を変えると、子どもの姿が変わる
子どもが自分で動けるかどうかは、本人の意欲だけで決まるものではありません。
靴や鞄を置く場所が決まっている。
必要なものが子どもの手の届く高さにある。
何をどこへ戻すのかが、見ればわかる。
そのように環境が整っていると、大人が一つひとつ指示しなくても、子どもは自分で次の行動へ進めます。誌面では、この考え方を家庭の朝の支度に取り入れる工夫も紹介されています。
「早く着替えて」「鞄を持って」「次は歯磨き」と何度も言う代わりに、子ども自身が一日の流れを確かめられるようにする。環境が子どもに次の行動を伝えてくれるため、大人も少しずつ子どもに任せられるようになります。
靴をきれいにする。手を洗って拭く。上着を畳む。エプロンを身につける。
誌面に写る子どもたちは、身の回りのことに自分の手で取り組んでいます。もちろん、最初から何でも上手にできるわけではありません。
大人には一つの簡単な作業に見えても、子どもにとっては、いくつもの動きが連なった活動です。手順を思い出し、道具を扱い、力を加減し、失敗したらもう一度やってみる。その繰り返しの中で、少しずつ自分の身体を思いどおりに動かせるようになります。
さらに、順番のある活動では、「次に何をするか」を考えなければなりません。必要なものをそろえ、段取りを組み立て、最後までやり遂げる。暮らしの仕事には、手を動かすだけでなく、見通しを持って考える経験も含まれています。
「自分でできた」が、「誰かの役に立ちたい」へ変わる
特集の後半では、子どもの活動が二つの方向へ広がっていきます。
一つは、着替えや身支度など、自分のことを自分でする活動。もう一つは、身近な人や環境のために行う活動です。
花を生ける。
食器を洗う。
植物に水をあげる。
みんなが使うものを整える。
食事の準備をする。
自分のことができるようになると、子どもの関心は少しずつ周囲へ向かいます。自分の力を使うことが、誰かの役に立つ喜びへとつながっていくのです。
料理は、そのことがよく見える活動です。
材料に触れ、道具を扱い、変化を五感で確かめる。そして、自分が準備したものをみんなで食べる。
誌面に写る子どもたちは、用意された料理体験を楽しんでいるというより、クラスの一員として、みんなのための仕事に取り組んでいるように見えます。
子どもを夢中にさせる活動は、特別な場所にだけあるわけではありません。洗う、切る、混ぜる、運ぶ、畳む、片づける。毎日の暮らしの中には、子どもが「やってみたい」と感じる本物の仕事がたくさんあります。
そして、子どもにとって最も身近なお手本は、お母さんやお父さんをはじめとする大人です。大人のしていることをよく見ているからこそ、子どもも同じようにやってみたいと思うのでしょう。
「今日、この子は何をしたがっているのだろう」
大人がそこに目を向けることから、子どもの「やりたい」を支える関わりが始まります。
誌面に写るのは、梶山モンテッソーリスクールの日常
今回の巻頭記事で取材・撮影されているのは、梶山モンテッソーリスクールです。
誌面には、子どもの手が届くように整えられた環境と、それぞれの活動に静かに取り組む子どもたちの姿が写されています。
撮影のために特別につくられた活動ではなく、スクールで日々繰り返されている暮らしです。だからこそ、子どもたちはカメラではなく、目の前にある自分の仕事を見ています。
梶山モンテッソーリスクールは、1974年に設立され、日本のモンテッソーリ教育を長く支えてきた園の一つです。
創立者の川村洋子先生は、日本でマリア・モンテッソーリの主要著作を初めて翻訳した鼓常良氏の娘であり、東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンターの第1期生でもあります。創立以来、AMI(国際モンテッソーリ協会)公認教師養成コースの実習園として、多くの教師の学びも支えてきました。
バンビーノでは2020年に同スクールを訪問し、その歴史や教育環境について取材しています。今回の『クーヨン』で子どもたちの姿にひかれた方は、こちらの記事もぜひあわせてご覧ください。

写真は2020.10.15ピックアップ記事掲載時の梶山モンテッソーリスクール
「教育的文化遺産」として今までも、そしてこれからも。
梶山モンテッソーリスクール
『月刊クーヨン』2026年10月号は、生活活動の手順を紹介するだけの特集ではありません。
子どもが怒ったり泣いたりしたとき、その行動だけを止めようとするのではなく、「本当は何をしたかったのだろう」と見つめ直す。そこから環境を整え、大人の手を少しずつ引いていくまでが、豊富な写真とともに紹介されています。
家庭で子どもの「自分で」に付き合うことが難しいと感じている方にこそ、手に取ってほしい一冊です。子どもたちの手元や表情、大人との距離、環境の細かな工夫は、ぜひ18ページの誌面でご覧ください。
書籍情報
『月刊クーヨン』2026年10月号
特集:「かんしゃく」にだって理由があります 子どもの「やりたい!」を邪魔していませんか?
発売日:2026年9月3日
発行:クレヨンハウス
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