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なんでも口に入れるのは止めたほうがいい? 赤ちゃんが口で物を確かめる理由

おもちゃを渡すと、すぐに口へ。握って、なめて、向きを変えて、また口へ。
「それ、食べるものじゃないよ」「汚いから、お口に入れないで」。一日に何度も、そんな言葉をかけていませんか。せっかく選んだおもちゃなのに、なめてばかりで遊んでくれない、と感じることもあるかもしれません。

けれども、赤ちゃんにとっては、その「なめている時間」も、物を知るための大切な経験です。
大人が止める必要があるのは、危険な物を口に入れること。口で確かめる行為そのものを、やめさせなければならないわけではありません。

今回は、AMI(国際モンテッソーリ協会)の公開記事と、保護者向けの子育て支援サイト「Aid to Life」を手がかりに、赤ちゃんが口で物を確かめる理由と、大人ができる援助を考えます。

口は、食べるためだけに使うものではありません

大人は、初めて見る物でも、これまでの経験から「硬そう」「つるつるしていそう」と想像できます。でも、赤ちゃんは、その経験をこれから集めているところです。見た目だけでは分からないことを、手で触れ、唇や舌に触れさせて確かめています。

AMIの0–3歳トレーナー、Nancy Kodera氏は「Meeting an Infant’s Movement Needs」の中で、手に持つおもちゃやガラガラを、握る、口で探索する、片手からもう一方の手へ持ち替えるために用意できると説明しています。口を使うことも、赤ちゃんの探索の一部として位置づけられているのです。

米国疾病予防管理センター(CDC)も、生後6か月までに多くの赤ちゃんに見られる認知発達の姿の一つに、物を口へ運んで探索することを挙げています。「口に入れるなんて、まだ何も分かっていない」のではなく、口も使って分かろうとしている、と見てみると、その姿の意味が変わります。

「なめてばかりで遊ばない」のではなく、それが今の遊び

例えば、赤ちゃんがガラガラを口に運んでいると、大人は「こうやって振るんだよ」と、音を鳴らして見せたくなります。もちろん、音を聞くことも楽しい経験です。ただ、大人が考える遊び方だけが、そのおもちゃとの関わり方ではありません。

少しなめて口から離し、じっと見つめる。握り直して、今度は別のところを口に当てる。そんな場面があれば、同じことを繰り返しているようで、手の位置や物の向きは変わっています。「振れるかどうか」だけを見ていたら、こうした細かな動きを見落としてしまいます。

Aid to Lifeの「動き・運動」では、子どもは見る、触れる、におう、味わう、聞くといった感覚を通して学ぶと説明されています。この視点で見ると、口に運ぶことも、遊びの途中で起きる余計な行動ではなく、目や手と一緒に物を確かめている時間として受け止められます。

「口に入れないで」より先に、安全な物を選ぶ

口で確かめることを認めるからといって、何をなめてもよいわけではありません。赤ちゃん自身に危険を判断してもらうのではなく、大人が先に、触れてよい物と触れさせない物を分けておきます。

選ぶときは「モンテッソーリのおもちゃだから」「天然素材だから」ではなく、今の月齢と使い方に合っているかを確認しましょう。

  • 対象年齢が合い、口に触れる使い方を想定した乳児用のおもちゃであること。
  • 丸ごと口に入る小ささではなく、外れたり、かみちぎれたりする小さな部品がないこと。
  • ひび割れ、ささくれ、塗装のはがれなどがなく、口の奥を突くような形状ではないこと。
  • 製品の説明に沿って洗浄・乾燥などの手入れができ、清潔に保てること。

年齢に合った歯固めなど、口で確かめられる物を用意し、大人がそばで見守ります。「感覚を育てるため」に、わざわざいろいろな物を口へ入れさせる必要はありません。赤ちゃんが自分から手に取り、試せることが大切です。

危険な物は止めて、「確かめたい」は受け止める

赤ちゃんがリモコンを口へ運ぼうとしたら、「これはお口に入れられないよ。こっちをどうぞ」と短く伝え、リモコンを手の届かない場所へ移して、口に触れてもよいおもちゃを差し出す。家庭では、そんな関わり方ができます。言葉だけでやめるのを待たず、大人が安全を確保します。

特に注意したいのは、ボタン電池、強力な磁石、水で膨らむ吸水樹脂ボール、小さな部品や硬貨、薬、たばこなどです。上の子には楽しいビーズや小さなブロックも、赤ちゃんには誤飲の原因になります。遊ぶ場所や収納を分け、片づけたあとに床へ残っていないかを大人が確認しましょう。上の子への「気をつけてね」だけに、安全を任せないことも大切です。

ボタン電池や磁石、吸水樹脂ボールを飲み込んだ可能性があるときは、元気に見えても様子を見ず、すぐに医療機関へ連絡・受診してください。呼吸ができない、泣き声が出ないなど窒息が疑われる場合は、直ちに119番通報し、通信指令員の指示に従って応急手当を行います。

危険な物を取り上げることは、探索を否定することではありません。確かめたい気持ちは受け止めながら、確かめる対象を安全な物へ替える。それも、赤ちゃんの活動を支える援助です。

急いで「なめる時期」を卒業させなくても大丈夫

赤ちゃんが安全なおもちゃをなめているとき、毎回やめさせたり、すぐに別の遊びへ誘ったりする必要はありません。どこを持っているのか、口から離したあとに何を見ているのか、少し眺めてみてください。

ただし、食べ物ではない物を実際に飲み込むことを繰り返す、口を傷つける、食事にも困りごとがあるなどの場合は、「探索だから」と片づけず、小児科や乳幼児健診で相談しましょう。

「また口に入れている」を、「今、これを確かめているんだね」へ。
危険は大人が取り除き、赤ちゃんには、自分の感覚を使って世界を知る時間を残してあげたいですね。

参考資料・出典

AMI/Voices of AMI Training
Nancy Kodera「Meeting an Infant’s Movement Needs

AMI/Aid to Life
動き・運動

CDC(米国疾病予防管理センター)
Milestones by 6 Months

消費者庁
膨らむ『吸水樹脂ボール』の危険」/「子どもの事故防止調査・誤飲に関する情報」/「マグネットパズルの破損に注意!

東京消防庁
餅などによる窒息事故に注意!」(窒息時の応急手当)

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