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「偏食にならない子どもの育て方」はある? – モンテッソーリのアーカイブから読み解く、離乳期からの関わり

「できれば、好きなものだけでなく、いろいろなものを食べられる子に育ってほしい」

そう願って離乳食を始めたのに、出したものを嫌がられる。食べてくれるものを用意しているうちに、いつの間にか同じ献立ばかりになっている。

「小さいうちから、何をしておけばよいのだろう」

偏食には、感覚の特性や、かむ・飲み込む難しさなども関わるため、育て方だけで必ず防げるとは言えません。

けれど、偏食を完全に防げるとは言えないことと、離乳期から大切にできることがないということは、別です。

AMI(国際モンテッソーリ協会)が公開する家庭向け資料「Aid to Life」や、トレーナーの言葉を読み合わせると、その手がかりが見つかります。

まず、その子は食べ物の何をつらく感じているのか。味なのか、においなのか、口の中の感触なのか。

一度食べなかったものを、どうするか。大人は一緒に食べているか。子どもは、料理ができるまでに関わっているか。

今回は、そうした資料に医学・栄養学の情報も重ねながら、離乳期から成長に応じて取り入れたい、食べられるものを広げるための関わりを考えてみます。

「好き嫌い」で片づける前に、感覚過敏による食べづらさを知る

偏食を考えるとき、見落としたくないのが、感覚過敏によって、食べること自体がつらくなっている場合があるということです。

苦味や酸味、特定のにおい。野菜の繊維、衣のざらつき、ねばねばした感触、温度。大人には気にならない刺激が、その子には強い負担になることがあります。

食べ物の色や形、食材が混ざった見た目を嫌がることもあります。ただし、これは感覚過敏だけでなく、初めてのものへの警戒や、いつもと違うことへの不安が関わる場合もあります。

「味が嫌いなのだろう」と決めず、何を嫌がり、どんな状態なら食べられるかを見る。

たとえば、葉物の繊維が気になるなら、やわらかい葉先を使って細かく刻む。

にんじんや大根の硬さが負担なら、長めに煮てやわらかくする。

肉や魚のパサつきが苦手なら、だしやあんを絡めてしっとりさせる。

混ざった食感が苦手なら、ご飯とおかずを混ぜずに別々に盛る。

つぶつぶした食感が苦手なら、なめらかにつぶしてみる。

逆に、どろっとした感触が苦手なら、つぶしすぎず形を残してみる。

強いにおいが苦手なら、香りの強い調味料を控え、シンプルな味付けにしてみる。

といった工夫が考えられます。

ただし、何でも細かく、やわらかくすればよいわけではありません。その子が何を不快に感じているかによって、食べやすい形は変わります。

偏食の原因は感覚過敏だけではありません。けれど、本人のつらさを、好き嫌いやわがままとして片づけたくないのです。

「どうすれば食べさせられるか」の前に、「この子は、何をつらく感じているのだろう」。

切り方や調理法を変えるのも、苦手なものを気づかれずに食べさせるためではなく、その子の食べづらさを減らすためです。

一度食べなかったものを、食卓から消してしまわない

初めての離乳食を口にした赤ちゃんが、顔をしかめる。

すると大人は、「にんじんは嫌いなんだ」と思ってしまうことがあります。

でも、それまでミルクを飲んでいた赤ちゃんにとって、新しい味は不慣れなものばかりです。Aid to Lifeの「離乳食の紹介」でも、最初の表情だけで諦めず、さまざまな味を紹介していくことが勧められています。

まだ知らない味を、その子の「嫌いなもの」に決めてしまわない。

そのために、今日は食べなかったものも、別の日にまた少し用意してみる。食べ慣れたものを残しながら、ほかの食べ物を試せる機会をつくります。

毎回、新しい食材を増やす必要はありません。同じ野菜に、何度か出会うことにも意味があります。米国農務省の研究レビューでも、野菜を繰り返し味わう経験は、その野菜を受け入れやすくすることにつながると整理されています。ただし、「何回出せば必ず食べる」という意味ではありません。

もちろん、嫌がる口へ何度もスプーンを差し出すことではありません。その日は無理に食べさせず、また別の機会に出すということです。

「今日は食べなくてもいい」と、「もう出さない」は違います。

この違いを、離乳期から大切にしたいのです。

「食べてみて」と勧める前に、大人も一緒に食べる

子どもの好きな料理を作り、小さな机と椅子も用意した。それでも、子どもは食べずに遊びに行ってしまう。

Aid to Lifeには、そんな相談が載っています。

その回答が注目しているのは、料理の内容ではなく、子どもが一人で食べていることでした。家族と食卓を囲むか、難しければ大人も一緒に座って少し食べ、食事の時間を共有することを提案しています。

子どもを食べさせてから、大人が食べる。子どもの食事中に、片付けを済ませる。

忙しい毎日では、そうなることもあるでしょう。それでも、できるときには大人も座り、食べている姿を見せたいところです。英国の公的医療情報でも、大人をまねることが、新しい食べ物を食べて楽しむための手がかりになるとしています。

「おいしいから食べてごらん」と何度も説得するだけでなく、身近な大人が、その食べ物を普通においしく食べている場面をつくる。

毎食、家族全員がそろわなくてもかまいません。

食べるよう促す言葉を増やす前に、一緒に食べる機会を増やしてみる。これも、取り入れたい工夫の一つです。

食べてほしい野菜を、まず一緒に洗ってみる

子どもが食べ物に出会うのは、完成した料理が目の前に出てきたときだけでしょうか。

成長して簡単なお手伝いができるようになったら、大人と一緒にじゃがいもを洗う。食器を運ぶ。盛り付けを手伝う。

Aid to Lifeは、調理や配膳への参加が、食べ物への興味につながると伝えています。

苦手な野菜を前に「一口食べよう」とやり取りするだけでなく、その野菜を知る機会を、食卓に出す前からつくっておくのです。

たとえば、にんじんを一緒に洗い、大人が切るところを見る。鍋に入ったものが、やがて自分の食事になる。

「出されたものを食べる」だけでなく、食事ができるまでに自分も加わる。そんな関わり方を用意してみます。

手伝ったからといって、その日に必ず食べるわけではありません。だから「自分で洗ったんだから食べなさい」と、食べる義務にはしない。

目指したいのは、「食べなさいと言われる野菜」を、「自分も準備に関わった野菜」に変えていくことです。

「食べるまで終われない時間」にしない

「これを食べたら、ごちそうさまにしよう」
「あと一口だけ」

食べられるものを増やしたくて、つい食卓で粘ってしまうことがあります。

けれど、毎回の食事を「苦手なものを食べられるかどうか」の試験にはしたくありません。NHSも、拒否した食べ物を無理に食べさせず、落ち着いて別の機会に試すことを勧めています。

新しいものは少量から。食べなかった日は、叱ったり、長く粘ったりしない。そして、また別の日に出してみる。

「一回の食事で何とか食べさせる」より、「何度も試せる機会を残す」。

これは、食べられるものを増やすことを諦める対応ではありません。その日の一口だけで、勝負をつけないということです。

好きなものだけにせず、苦手なものを押しつけず

偏食を防ぎたいとき、「好きなものだけを出す」か、「嫌がっても食べさせる」かの二択にする必要はありません。

食べ慣れたものを用意しながら、ほかの食べ物にも少しずつ出会えるようにする。大人も一緒に食べ、成長に合わせて準備にも参加してもらう。

そして、強く嫌がるときには、まずその子が何をつらく感じているのかを見る。味なのか、においなのか、食感なのか。必要なら、切り方や硬さ、盛り付け方も変えてみる。

モンテッソーリの資料を食卓に生かすなら、こうした関わりを、毎日の中に組み込んでいくことが大切なのではないでしょうか。

明日は、にんじんをもう少しやわらかく煮てみる。混ぜご飯ではなく、別々に出してみる。「食べて」と勧める前に、大人も隣で食べてみる。

一度に全部を変えなくても、試せることはあります。

「今食べられるもの」を大事にしながら、「これから食べられるかもしれないもの」との出会いを続ける。

偏食を完全に防ぐ約束はできなくても、食べ物の選択肢を広げるために、大人ができることはあります。

離乳期から始めたいのは、好き嫌いを厳しく正すことではなく、こうした働きかけです。そして、すでに好き嫌いが出てきている子にも、今の食べ方に合わせて取り入れるところから考えてみたいと思います。

※幼児期になってもほぼ飲み物だけ、食べられるものが極端に少ない、むせや痛みがある場合は、一般的な偏食対策だけで対応せず、小児科や管理栄養士、摂食・嚥下に詳しい言語聴覚士などに相談してください。今の栄養を支えている食べ物やミルクを、食べさせるために自己判断で急に減らすことは避けましょう。

参考資料・出典

モンテッソーリの資料

Association Montessori Internationale/Aid to Life
Introducing Solids(離乳食の紹介・英語)
Frequently Asked Questions about Eating(食べることについてよくある質問・英語)
食事の準備に参加させてあげましょう(日本語版)

Association Montessori Internationale/Voices of AMI Training
Irene Fafalios「Give Me My World」
AMI公式記事を見る

偏食・感覚・食事の援助に関する資料

米国農務省/Nutrition Evidence Systematic Review
Repeated Exposure to Foods and Food Acceptance

米国言語聴覚協会(ASHA)
Pediatric Feeding and Swallowing

NHS
Fussy eaters

調理の工夫に関する資料

日野市
【9~11カ月】よくある質問

文京区
かんたん♪離乳食

板橋区
離乳食から幼児食へのすすめ方

Kingston and Richmond NHS Foundation Trust
Selective eating in children

Bedfordshire and Luton Children’s Health
Strategies to help sensitive children eat

※本記事は、AMIの教育的な提案に、医学・栄養学および調理の資料を補足して構成したものです。AMIが偏食予防の効果を実証した方法を紹介するものではありません。

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