カテゴリ / コラム ようこそわが家へ~モンテッソーリ×里親活動の記録~
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<第3話>ドキドキの児童養護施設実習 の中で思い出される発達の4段階

画像はイメージです

 

児童養護施設とは、家庭での養育が難しい状況にある、
3歳以上18歳までの子どもたちが集団で暮らすところです。
3歳未満の子どもたちが暮らす施設は乳児院です。

ということを座学研修で教わった時点で、

なんで3歳で別の施設に行かないといけないのか
その別れの体験は小さな子どもたちにとっては辛すぎるんじゃないのか
せっかく乳児院の職員さんたちと愛着関係を築けても、そこでまた崩れちゃうじゃないか
どうにかして生まれてから18歳まで一貫した施設で過ごすことはできないのか

と職員さんに質問しつつ訴えた記憶があります。
(我ながらなかなかうっとうしい里親候補だなと思うのですが、言わずにいられなかった)

施設のつくりとか、職員の配置とか
そういう現実的なところでなかなか難しいのだとお答えいただきました。
…そうか。
(納得はできていないけど飲み込む。)

 

で、私たち里親は
そういう施設から里子ちゃんを家に迎え入れることもあるので
子どもたちがどのような暮らしをしているのか、
家庭生活との違いは何なのか
それを実体験させてもらう意味でこの実習を受ける という個人的認識のもと
指定された児童養護施設に、2日間の実習に行ってきました。

実習に行くまでは
大きな別れを一度経験している子どもたちってどういう感じなんだろう…?
と漠然とした不安を抱えていたのですが

行ってみたらなんてことはなかった。

そのあたりにいる、ごく普通の(という言葉がいいのかはわかりませんが)
子どもたち、という印象でした。

 

私たちがお邪魔したところは、小学生から高校生までの子どもたち6人の共同部屋。
小学生未満の子どもたちは、別のお部屋で男女混合ですが
小学生以上は男女別でした。(だから異性の組み合わせの兄弟も別部屋になります)

ここで、もうひとつ漠然とした不安と疑問があって、
私たちみたいな不特定多数の大人が、
自分たちの生活の場に出たり入ったりする環境ってどんな感じなんだろうか
イヤじゃないのかな (私だったら、ちょっとイヤかも)
ということ。

それも子どもによって反応は違いました。
やっぱり、高校生くらいになると、私たち(だけでなくルームメイトや職員さんたち)が鬱陶しそうでした。
最初姿は見せず、「うるせーんだよ!」という声とともに空のペットボトルだけが上から飛んできたりして、(お、おぉ…洗礼)と感じたりもしました。
でもその後、その子が別部屋でスタッフさんの前で号泣しているのを目撃して
いろいろ抱えていそうだなぁと感じました。

逆に、小学生の子どもたちは人懐っこい子たちが多く、
むしろ歓迎してくれているような感じで
お部屋でテレビを一緒に見たり、外でサッカーをしたり、一緒に遊んですごしました。
お風呂上がりの髪を乾かさせてもらったりもしました。

お食事も一緒に取らせてもらいましたが、高校生の子はその場には来ず、
あとから一人で食事を済ませていました。

 

モンテッソーリの発達の4段階で
大人になる(24歳頃)までの発達は4段階に分かれていて
発達段階によって特徴や必要な環境が全然違うこと、

小学生のうちは友達との関わりが楽しく(ギャングエイジ)
ルールや社会的秩序も、ちゃんと守ろうとする時期、

中高の思春期になると、ホルモンバランスが一気に崩れて
親や家族、幼少期から一緒だった近しい人たちほど一気に鬱陶しくなる
(精神的自立の最初)
既存のルールに疑問を抱いたり、反発を覚えたりする
その一方で学校での友達関係や異性関係が重要視されて、
周りから自分がどうみられているか どういうポジションに自分がいるのか
他者評価がすごく気になってくる
そんな中で自分は何ができるか、社会の中でどのように役に立つのか
自分はどう生きていくのかを模索している時期

というのを思い出して

小学生のうちはこの集団生活がまだ楽しくても
高校生にもなるとなかなかキツイだろうな~
と降ってきたペットボトルを見ながら感じていました。

理想としては、発達段階で環境が変えられるといいんだろうな
なかなか難しいだろうけど
そういう意味では、3~6歳のお部屋というのはある意味理想的だな
逆に6~12歳と、12~18歳が一緒というのはしんどいだろうな
モンテッソーリの理念に基づいた児童養護施設があったらいいだろうな
なんてことも漠然と思いました。

概ね楽しく、順調に終わった実習ですが
それでも私の心には、何か漠然とした不安というか
モヤモヤしたものが残っていました。(続く)


<第1話> 里親になろう、そう思ってから実際に動き始めるまで
<第2話> いざ、里親研修へ 心に残る愛着障害の話
<第3話>ドキドキの児童養護施設実習 の中で思い出される発達の4段階
<第4話> このモヤモヤは何?…里親家族のロールモデルを求めて
<第5話> 里親登録後の実習の方が長いゾ! 乳児院の子どもたちとの出会い
<第6話> 乳児院の子どもたちを通して見えてきた実親さんの背景と、里親側の気持ちの変化
<第7話> いざ養育委託の話が来たら、ただただ嬉しいだけだったという話
<第8話> はじめまして、里子ちゃん 戸惑いと反発と喜びとが交錯する初対面
<第9話> 里子ちゃんの気持ちをぜんぶ言葉にすることで進んだ交流
<第10話> 私の持ち物を通して交流が進んだ話
<第11話> 初めてのおうち体験 魅力的なのはおもちゃじゃなかった 日常生活との出会い 
<第12話> 一般家庭は危険がいっぱい 安全確保とモンテッソーリの考え方とのせめぎ合い 
<第14話> まだおうちに来てもいないのに幼稚園選び? 慌ただしくもなんだか楽しい
<第15話> 初めてのお泊まりで、初めて大泣きした夜のこと
<第16話> 甘え全開で嬉しいけど身体が(涙) でもとても大事な「甘え」の意味
<第17話> 今は何が最優先? 難しすぎる育児と家事のバランスゲーム
<第18話> 2回目のお泊まり お迎え時に聞いた初めての言葉
<第19話> 泣く理由が180°変わった3回目のお泊まり 愛着関係の移り変わり
<第20話> お客さんへの反応で垣間見えた、Aちゃんにとってのおうちの意味
<第21話> 交流最後の振り返り Aちゃんをおうちに迎え入れるためのミーティング(第1シーズン最終回)

国際モンテッソーリ教師、保育士/シロクマ   
30歳過ぎてからモンテッソーリに出会い、その考え方に惚れこむあまり国際資格を取る。その後、モンテッソーリ教師・保育士としてこどものいえや保育園で約10年働く。途中、結婚して子どもに恵まれなかったことがきっかけで里親制度に興味を持ち、里親として子どもの養育に関わりたいと思い、今に至る。現在2歳半の里子ちゃんの長期養育を目指して交流中。子どものためのモンテッソーリ、子どものための里親制度がより多くの人に知ってもらえたらという思いで執筆中。
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