カテゴリ / コラム ようこそわが家へ~モンテッソーリ×里親活動の記録~
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<第2話> いざ、里親研修へ 心に残る愛着障害の話

画像はイメージです


里親になるまでの過程は、各自治体によって異なるようです。
私たちの場合は
座学研修2日間、児童養護施設実習2日間、登録後実習(乳児院)10日間でした。
これを全部、夫婦そろって受講します。

日程だけ聞くとあっという間に登録できそうな感じですが、
最初の座学の日程が半年に一度なので、
タイミングが合わないと半年待ち、ということになってしまうのです。
例えば3ヶ月に1回とか、もう少し頻繁に最初の研修が開催されていたら、里親の増え方も変わるんじゃないかな?ていうか半年待ちは時間もったいない
などと感じましたが、これはここで愚痴るんじゃなくて、ちゃんと自治体に要望として提出しましょうって話なのでこのくらいにして。

 

座学の研修では、里親制度について、法律の話や日本の里親委託がどの程度進んでいるのか、なぜ家庭で育てられない子どもが出てきてしまうのかその理由、子どもの心の発達について、里親としての心構えなど、多岐にわたり専門の方々からお話を伺います。

その中でやたらと強調されてい(るように感じ)たのが、「愛着障害」の話。

一般家庭では、赤ちゃんのお世話をするのは、保護者にあたる大人です。
何当たり前のこと言ってんだと思うかもしれませんが、
里子ちゃんとして迎える子どもたちにとっては、これが当たり前ではありません。

特定の大人が世話をするということが、子どもの育ちにとても重要だということは
モンテッソーリのコースでも教わりましたが
ここでもまた強調されて出てくるんだ、と感じたのです。

 

モンテッソーリでは生まれてから最初の8週間を共生期間と呼びます。
この時期に、赤ちゃんが泣いたら大人が「オムツかな、おなかすいたかな、眠いかな、退屈なのかな」と赤ちゃんのニーズに応えようとお世話をすることで
赤ちゃんの中に「自分がいるこの世界はいいところだ」「自分はここにいていいんだ」という安心感と基本的な信頼感が育つ
という大切な時期です。

 

共生期間に特定の大人と愛着関係を築くことが、
共生期間を過ぎてからも、他の人たちとの関係を築いたり、自分で新しいことにチャレンジしたりする原動力の土台になります

もちろん、特定の大人と愛着関係を築くのは共生期間だけではなく
そのあとも続きます。
お母さんが受け入れてくれるから頑張れる、
お父さんが認めてくれるからチャレンジできる、など
この人のもとにいたら安心できて、だからこそ離れてみよう、やってみようと思える
というのが愛着関係なのかなと。
(いや~なんてザックリ過ぎる説明。 怒られそう ←誰に)

 

さて、様々な事情で実親さんのもとで育つことが難しい子どもたちは、
この「特定の大人と愛着関係を築く」ことが難しいという現実があります。

家の土台が緩いと家が崩れやすくなるように、
愛着関係という基盤が緩い子どもは、
「安心感」「基本的信頼感」がうまく形成されないことがあり
その結果、その後の人格形成や人間関係の形成において、
本人も周りも困る感じ方や反応、行動を示すことがあります。

人が信じられなくて心を閉ざしたり攻撃的になったり
逆にどんな人にでも心を開きすぎて距離を詰めすぎたり。
場合によっては、発達障害と区別がつかない反応・行動を示すこともあります。

こういうことが、多かれ少なかれ、ほぼすべての里子に見られます
里親になる皆さんは、心に留めておいてください
という研修内容だったと記憶しています。

 

ここまで聞いて、私は
(えぇ…愛着障害ツラい…悲しい…そこ受け止められるのか…できるのか私に…)
とまたヘコんでしまったわけです。
えぇ本当によく凹むんですよ我ながら。

 

ここで夫が一緒になってヘコんでいたら、
この時点で登録をあきらめていたのかもしれないのですが
「大丈夫だよ、だってみんなこの研修受けて里親やってるんだから。
僕たちだけできないなんてことはないし、
逆にいろんなところに相談できていいじゃない♪」
と前向きな言葉をかけてくれたので、今に至っているのだと、書きながら思い出しました。
なんていい人…パートナーが夫でよかった。(いきなりの惚気)

 

この2日間の座学研修を終えて、次の児童養護施設実習に進みます。(続く)


<第1話> 里親になろう、そう思ってから実際に動き始めるまで
<第2話> いざ、里親研修へ 心に残る愛着障害の話
<第3話>ドキドキの児童養護施設実習 の中で思い出される発達の4段階
<第4話>このモヤモヤは何?…里親家族のロールモデルを求めて
<第5話> 里親登録後の実習の方が長いゾ! 乳児院の子どもたちとの出会い
<第6話> 乳児院の子どもたちを通して見えてきた実親さんの背景と、里親側の気持ちの変化
<第7話> いざ養育委託の話が来たら、ただただ嬉しいだけだったという話
<第8話> はじめまして、里子ちゃん 戸惑いと反発と喜びとが交錯する初対面
<第9話> 里子ちゃんの気持ちをぜんぶ言葉にすることで進んだ交流
<第10話> 私の持ち物を通して交流が進んだ話
<第11話> 初めてのおうち体験 魅力的なのはおもちゃじゃなかった 日常生活との出会い 
<第12話> 一般家庭は危険がいっぱい 安全確保とモンテッソーリの考え方とのせめぎ合い 
<第13話> おうちは楽しい だけじゃない。不安と緊張で戸惑うことも 
<第14話> まだおうちに来てもいないのに幼稚園選び? 慌ただしくもなんだか楽しい
<第15話> 初めてのお泊まりで、初めて大泣きした夜のこと
<第16話> 甘え全開で嬉しいけど身体が(涙) でもとても大事な「甘え」の意味
<第17話> 今は何が最優先? 難しすぎる育児と家事のバランスゲーム
<第18話> 2回目のお泊まり お迎え時に聞いた初めての言葉
<第19話> 泣く理由が180°変わった3回目のお泊まり 愛着関係の移り変わり
<第20話> お客さんへの反応で垣間見えた、Aちゃんにとってのおうちの意味
<第21話> 交流最後の振り返り Aちゃんをおうちに迎え入れるためのミーティング(第1シーズン最終回)

国際モンテッソーリ教師、保育士/シロクマ   
30歳過ぎてからモンテッソーリに出会い、その考え方に惚れこむあまり国際資格を取る。その後、モンテッソーリ教師・保育士としてこどものいえや保育園で約10年働く。途中、結婚して子どもに恵まれなかったことがきっかけで里親制度に興味を持ち、里親として子どもの養育に関わりたいと思い、今に至る。現在2歳半の里子ちゃんの長期養育を目指して交流中。子どものためのモンテッソーリ、子どものための里親制度がより多くの人に知ってもらえたらという思いで執筆中。
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