カテゴリ / コラム ようこそわが家へ~モンテッソーリ×里親活動の記録~
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<第16話> 甘え全開で嬉しいけど身体が(涙) でもとても大事な「甘え」の意味

体を慣らすためにも、小さい頃から抱っこしたかった(涙)(画像はイメージです)

 

初めてのお泊まり、2日目。

 

朝起きたときから不安げに泣いていました。

 

そのあとはもうずっと、抱っこ抱っこ。

ご飯はお母さんのおひざの上、
お散歩も抱っこ、
お買い物も抱っこ、
電車見るときも抱っこ、
何するときも、抱っこ抱っこ抱っこ抱っこ

 

…身体が持たん…(白目)

 

小さな赤ちゃんのうちから抱っこしていて
日に日に重くなっていく子ならまだしも
いきなり10数キロの子どもからの抱っこ攻撃、
つらい。

甘えてくれてうれしいし、可愛いけど、
身体は正直。
腰も肩も腕も痛い、満身創痍。
 
子育ては、つらさが可愛さで相殺されない 
と聞いていたけれど、これがそうか…?

 

2日目からはお父さんも仕事がお休みで
おうちにいたんですが、
甘えるのはどうしてもお母さんの方。

これも分かってはいたし、
ある程度はしかたがないんだけど、

でもお父さん! 
もうちょっと面倒見て!! 
携帯見てないで!!!!!(怒)

という夫婦の危機もありつつ。

あまりの疲れっぷりに、3日目は3人とも11時起きでした。

あ~あ さっそくやってしまった 
せっかく乳児院で規則正しい生活してたのに~

当然お昼寝はなしで、
夕方、乳児院に送り届けました。
ぜーんぶ正直に報告しました。

 

私が疲れて、ご飯がだんだんおろそかになっていったこと、Aちゃんも(おそらく緊張と不安で)決まったものしか食べないからこちらもそれに甘えて同じメニューばかりになってしまったこと、とにかく何か口にしてくれれば御の字で栄養バランスなんて二の次だったこと、2日目の夜は大好きなお風呂もいやがって入らなかったこと(身体は拭きましたけども)、疲れすぎて3日目の今日は生活リズムがひどく崩れてしまったこと、夜の大泣きのこと、私も一緒に泣いたこともひっくるめて、隠すことなく報告しました。

 

怒られるかな~ 
呆れられるかな~ 
と思ったら、皆さん優しくて。

「最初はみんなそうですよ~。
 まったく食べられない、
 まったく寝られない
 という子もいっぱいいます。
 里親さんも慣れなくて疲れたでしょうから
 このあとはおいしいものをちゃんと食べて
 ゆっくり休んでくださいね」

…う~~~(涙)
天使か。

こんな感じで
ドタバタのお泊まり練習1回目が終了しました。

 

後から冷静に振り返ると
この、甘え全開になってもらえたのは、
関係を深めるためにはどうしても通る道なので
トータルで見たら、よかったと思います。

 

人間の発達は、
「この時期にはこんな発達をします」
というだいたいの道筋が決まっています。
でも、前の段階で抜けていることがあると
それを次の段階で習得しようともします。
ひとつ前の段階で必要な発達が得られてこそ、
次の段階に行けるのです。

私たちの場合は、
まずゆるぎない愛着関係を築くこと。

出会うまでの空白の2年で
構築されていないものを
これから作っていくので
今までできていたことも
ぜんぶやってもらいたい、
甘え全開の赤ちゃん状態になるのだと思っています。

この甘えが全面的に受け入れてもらえたら
次の自立の段階に行けるのだと思うのです。

 

と頭では分かっていても
現実にはこの辺のさじ加減がなかなか難しい。

なんせ着替えも食事も全部「おかーかん、やって」
ちょっと歩けば「だっこ」になるので

「じゃあ一緒にやろうね。
 Aちゃんは(ズボンの)前持って、
 お母さんは後ろ持つね」
などと、
少しでも本人が参加できるような方向で
声かけしています。
が、うまくいかないときも多々あります。

保育園だったらここでもうちょっと粘って
自分でできるように持っていくのですが
この頃の私はその余裕が一切なく(苦笑)
「やりなさい!」と怒るよりはマシかと思い
さっさとやってあげてしまっていました。

そうやって、
Aちゃんが今まで乳児院でできていたことを
代わりにやってあげながら

この子がまた自分でできるようになるのは
果たしていつのことになるんだろうか

と少し不安に感じていました。

 

そしてこの甘え全開モードにより
他のことがまったくできないというジレンマも生まれました。(続く)


<第1話> 里親になろう、そう思ってから実際に動き始めるまで
<第2話> いざ、里親研修へ 心に残る愛着障害の話
<第3話> ドキドキの児童養護施設実習 の中で思い出される発達の4段階
<第4話> このモヤモヤは何?…里親家族のロールモデルを求めて
<第5話> 里親登録後の実習の方が長いゾ! 乳児院の子どもたちとの出会い
<第6話> 乳児院の子どもたちを通して見えてきた実親さんの背景と、里親側の気持ちの変化
<第7話> いざ養育委託の話が来たら、ただただ嬉しいだけだったという話
<第8話> はじめまして、里子ちゃん 戸惑いと反発と喜びとが交錯する初対面 
<第9話> 里子ちゃんの気持ちをぜんぶ言葉にすることで進んだ交流 
<第10話> 私の持ち物を通して交流が進んだ話 
<第11話> 初めてのおうち体験 魅力的なのはおもちゃじゃなかった 日常生活との出会い
<第12話> 一般家庭は危険がいっぱい 安全確保とモンテッソーリの考え方とのせめぎ合い 
<第13話> おうちは楽しい だけじゃない。不安と緊張で戸惑うことも 
<第14話> まだおうちに来てもいないのに幼稚園選び? 慌ただしくもなんだか楽しい
<第15話> 初めてのお泊まりで、初めて大泣きした夜のこと
<第16話> 甘え全開で嬉しいけど身体が(涙) でもとても大事な「甘え」の意味
<第17話> 今は何が最優先? 難しすぎる育児と家事のバランスゲーム
<第18話> 2回目のお泊まり お迎え時に聞いた初めての言葉
<第19話> 泣く理由が180°変わった3回目のお泊まり 愛着関係の移り変わり
<第20話> お客さんへの反応で垣間見えた、Aちゃんにとってのおうちの意味
<第21話> 交流最後の振り返り Aちゃんをおうちに迎え入れるためのミーティング(第1シーズン最終回)

国際モンテッソーリ教師、保育士/シロクマ   
30歳過ぎてからモンテッソーリに出会い、その考え方に惚れこむあまり国際資格を取る。その後、モンテッソーリ教師・保育士としてこどものいえや保育園で約10年働く。途中、結婚して子どもに恵まれなかったことがきっかけで里親制度に興味を持ち、里親として子どもの養育に関わりたいと思い、今に至る。現在2歳半の里子ちゃんの長期養育を目指して交流中。子どものためのモンテッソーリ、子どものための里親制度がより多くの人に知ってもらえたらという思いで執筆中。
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