カテゴリ / コラム ようこそわが家へ~モンテッソーリ×里親活動の記録~
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<第20話> お客さんへの反応で垣間見えた、Aちゃんにとってのおうちの意味 

画像はイメージです。

 

もうお泊まりの話はいいかなと思っていたのですが、どうしても残したいエピソードがあるので書かせて下さい。

 

4回目、
おそらく最後になるであろうお泊まり練習の途中、
児童相談所の職員さんが家庭訪問する日が
設けられていました。

いきなりお客さんが来て
Aちゃんがびっくりしないように
前日の夜に、職員さんの写真を見せながら

「あした○○さんと△△さんがくるよ。
 Aちゃんがおうちでどんなことしてるのかな~
楽しいかな~ 
どんなおうちなのかな~
って見に来るんだよ。
 お父さんお母さんとお話をして、
 それで帰るんだよ」

とあらかじめ伝えておいたのですが…

 

そして当日も、

「もうすぐお客さん来るから一緒にお掃除しよう」

といってふたりで掃除機とフロアワイパーで
掃除して待っていたのですが…

 

あ、私自分の着替えが終わってなかった!
急いで着替えてくる!
Aちゃんお父さんと待ってて!
お父さん来たら出て!お願いね!

と2階に上がり、
(相変わらず段取りが悪い母)

その間にピンポーンとチャイムが鳴って
職員さんたちの
「こんにちは、おじゃましまーす」
が聞こえた瞬間、
Aちゃんの、けたたましい泣き声が響き渡りました。

 

…前日説明の効果なし…ハハハ…(涙)

 

慌てて着替えを済ませて降りていくと
夫にヒシっとしがみついて大泣きする
Aちゃんの姿が…

そのあとも、
私たち大人がリビングで話している
小1時間もの間ずっと
お父さんにしがみついて顔をうずめて、
いないふりをしていました。(苦笑)

そしてそのままウトウトし始め、
寝息を立てて寝てしまったので
おろそうと何度かチャレンジしましたが、
そのたびに腕を身体に回して
ヒシっとしがみついていました。

夫が途中で仕事に行くために、
私に抱っこを交代したときも
息できてます?(汗)
と心配になるくらい、
顔を私の身体にうずめて隠していました。

…さては自分が見えなければ
相手からも見えないと思ってるな?

 

1時間ほどの家庭訪問が終わって、
職員さんたちをお見送りし
姿が見えなくなったとたん、

「おきゃくさん、きたねぇ!」

と饒舌にしゃべり始めました(笑)
わかりやすーいっ

 

そのあとは、
1時間黙りこくっていた反動からか
それはそれはよくしゃべりました。
そしてちょっとのこと(私の変顔など)で
ゲラゲラ笑い、
呼吸困難かというくらいケタケタ笑い続け、
笑い疲れたのか
変な時間に寝てしまいました。
しかも抱っこのままで。

おろそうとすると、
やっぱりヒシっとしがみついてきます。

あー こりゃあもう、今は何にもできないな
ムリすることないか 私も疲れたし 
と早々に家事をあきらめ(笑)
抱っこのまま私もソファで一休み。
重い…

1時間半後、
お風呂に入りたい時間だな~と思って起こすと
案の定、不機嫌&不安そうな顔で、
私から1㎜も離れません。

ザ・情緒不安定。

起きても何もできない(笑)

 

というわけでこの日は

「今日はお風呂もご飯も適当でいいか!
 1日くらいお風呂入らなくても、
 ごはん適当でも死なないよね!」

と早々にあきらめ(2回目)
Aちゃんの心の揺れを受け入れることだけに専念しました。

その結果、
お風呂は入らず身体を拭くだけ、
ごはんも就寝もいつもより2時間ほど
遅くなってしまいました。

でも眠りにつくまでご機嫌に過ごせたから
よしとする。

 

午前中のほんの1時間の来客だけで、
1日中バタバタで大変だったのですが
そんな中にも、妙な嬉しさがありました。

Aちゃんの驚きや動揺、
不安など揺れ動く気持ちを
ぜんぶこっちにぶつけてきてくれたこと、

あ~ なんか疲れたけど 嬉しいなぁ~

とじんわりかみしめて、
ニマニマしていました。

外からのお客さんに
こんな拒否反応を示すとは予想外でしたが
でも逆に言えば、
おうちのお父さんお母さんは、
Aちゃんにとって安心できる存在
ってことでいいんだよなぁ
と再認識できたのです。

 

ぐったりとソファにもたれながら、
以前担当さんが

「お父さんもお母さんも、
 Aちゃんにいろいろ体験させてあげたいって
 きっと思って下さってると思うんですけど
 乳児院の子どもたちは、
 大人が思う以上に体験が少ないので
 ちょっとの新しいことが、
 すごく大きな刺激になってしまって
 そのたびに、楽しいけど
 それ以上に疲れてしまうと思うんです。
 だからほんとにゆっくり、
 少しずつ進めてあげて下さい」

と仰っていたのを思い出して 

Aちゃんが安心できる親子関係やおうちを
しっかり作ってから
少しずつ、Aちゃんのペースで、
行動範囲を広げていってあげよう
気持ちの揺れが見られたら、
そこをしっかり受け止めていこう
と思えたのでした。

 

この翌日の交流振り返りで
いよいよAちゃんがおうちに来る、
具体的な日取りが決まります。(続く)


<第1話> 里親になろう、そう思ってから実際に動き始めるまで
<第2話> いざ、里親研修へ 心に残る愛着障害の話
<第3話> ドキドキの児童養護施設実習 の中で思い出される発達の4段階
<第4話> このモヤモヤは何?…里親家族のロールモデルを求めて
<第5話> 里親登録後の実習の方が長いゾ! 乳児院の子どもたちとの出会い
<第6話> 乳児院の子どもたちを通して見えてきた実親さんの背景と、里親側の気持ちの変化
<第7話> いざ養育委託の話が来たら、ただただ嬉しいだけだったという話
<第8話> はじめまして、里子ちゃん 戸惑いと反発と喜びとが交錯する初対面 
<第9話> 里子ちゃんの気持ちをぜんぶ言葉にすることで進んだ交流 
<第10話> 私の持ち物を通して交流が進んだ話 
<第11話> 初めてのおうち体験 魅力的なのはおもちゃじゃなかった 日常生活との出会い
<第12話> 一般家庭は危険がいっぱい 安全確保とモンテッソーリの考え方とのせめぎ合い 
<第13話> おうちは楽しい だけじゃない。不安と緊張で戸惑うことも 
<第14話> まだおうちに来てもいないのに幼稚園選び? 慌ただしくもなんだか楽しい
<第15話> 初めてのお泊まりで、初めて大泣きした夜のこと
<第16話> 甘え全開で嬉しいけど身体が(涙) でもとても大事な「甘え」の意味
<第17話> 今は何が最優先? 難しすぎる育児と家事のバランスゲーム
<第18話> 2回目のお泊まり お迎え時に聞いた初めての言葉
<第19話> 泣く理由が180°変わった3回目のお泊まり 愛着関係の移り変わり
<第20話> お客さんへの反応で垣間見えた、Aちゃんにとってのおうちの意味
<第21話> 交流最後の振り返り Aちゃんをおうちに迎え入れるためのミーティング(第1シーズン最終回)

国際モンテッソーリ教師、保育士/シロクマ   
30歳過ぎてからモンテッソーリに出会い、その考え方に惚れこむあまり国際資格を取る。その後、モンテッソーリ教師・保育士としてこどものいえや保育園で約10年働く。途中、結婚して子どもに恵まれなかったことがきっかけで里親制度に興味を持ち、里親として子どもの養育に関わりたいと思い、今に至る。現在2歳半の里子ちゃんの長期養育を目指して交流中。子どものためのモンテッソーリ、子どものための里親制度がより多くの人に知ってもらえたらという思いで執筆中。
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