カテゴリ / コラム ようこそわが家へ~モンテッソーリ×里親活動の記録~
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<第15話> 初めてのお泊まりで、初めて大泣きした夜のこと

交流が始まって、早半年。

(…半年!!! ビックリ。
 ほんとあっという間でした、ここまで)

 

いよいよ2泊3日のお泊まり練習です。

 

いきなり2泊3日なの!? 
1泊じゃなくて?

と最初、驚いたのですが、
1~2日目でうまくいかなかったところを
2~3日目で修正できるので
この日程なんだそうです。

なるほど~。
いろいろ考えられてるなぁ~
(でも不安しかない。。。)

 

日中は、それまでの日帰り交流の延長で、
大変ながらも楽しく過ごしました。

お風呂も楽しく入り、夕食も食べて、
さぁあとはちょっと遊んで寝るだけ、
になったとき。

 

「帰る」
が始まりました。

 

「そうね、帰りたいよね。
 今日はお母さんと寝るんだよ」
「帰る」(半べそ)
「帰りたいね、お母さんと寝たら帰ろうね」
「帰る、(乳児院の)おへや帰る」(涙目)
「そうね、帰りたいね、でも、」
「帰る… かえる~!!!」(号泣)

 

こちらの言葉を遮るように「帰る」を連呼し、
そこから、おいおい泣かれました。

その泣き方があまりにも悲壮的で、
Aちゃんの気持ちがガンガン伝わってきて
「そうだよね、帰りたいよね」
と返すのがやっと。
前向きな言葉なんて出てきません。

 

気がついたら、もらい泣きしていました。

 

いや~、つらい。 
気持ちが分かり過ぎて、つらい。

だって今まで、お部屋のお友達と
信頼できる職員さんに見守られながら、
いつものお部屋で、
安心して眠りについてたのに。

何回か遊びに来ただけの
意味も分からない「おうち」で
いつもの職員さんもお友達もいない中で、
半年前に知り合ったばかりの私とふたりで
安心して眠りにつくなんて…
到底ムリだよね。

こんな、生まれてたったの2,3年で、
この経験はなかなかキツい。

 

それを思ったら、ぎゅっと抱っこして
ただただ一緒に泣くことしかできませんでした。

 

どのくらいそうしていたでしょうか、
泣き声が小さくなってきたので
「じゃあ、お母さんと一緒に夜のお散歩に行こうか」
と抱っこで連れ出し、
家の周りをゆっくりゆっくり歩いているうちに
身体の力が抜け、目を閉じて、寝息を立て始めました。

 

がんばったねぇ

私も泣いちゃうよこれは

一緒にがんばろうね

 

そのあとは、眠りも深く、
布団におろしても起きず、
夜中も起きず
朝までしっかり寝てくれました。
すごい。

起きたとき、また泣きべそでしたが
しっかりハグして、
「大丈夫だよ
 ここはお父さんとお母さんと
 Aちゃんのおうちだからね」
と伝えて、2日目の朝を迎えました。

 

今思うとこれが、
Aちゃんの甘えを全開にしてくれた、
最初の時だったのです。(続く)

職業柄、子どもの泣きには慣れていたけどこの本当に日は辛かった。(画像はイメージです)


<第1話> 里親になろう、そう思ってから実際に動き始めるまで
<第2話> いざ、里親研修へ 心に残る愛着障害の話
<第3話> ドキドキの児童養護施設実習 の中で思い出される発達の4段階
<第4話> このモヤモヤは何?…里親家族のロールモデルを求めて
<第5話> 里親登録後の実習の方が長いゾ! 乳児院の子どもたちとの出会い
<第6話> 乳児院の子どもたちを通して見えてきた実親さんの背景と、里親側の気持ちの変化
<第7話> いざ養育委託の話が来たら、ただただ嬉しいだけだったという話
<第8話> はじめまして、里子ちゃん 戸惑いと反発と喜びとが交錯する初対面 
<第9話> 里子ちゃんの気持ちをぜんぶ言葉にすることで進んだ交流 
<第10話> 私の持ち物を通して交流が進んだ話 
<第11話> 初めてのおうち体験 魅力的なのはおもちゃじゃなかった 日常生活との出会い
<第12話> 一般家庭は危険がいっぱい 安全確保とモンテッソーリの考え方とのせめぎ合い 
<第13話> おうちは楽しい だけじゃない。不安と緊張で戸惑うことも 
<第14話> まだおうちに来てもいないのに幼稚園選び? 慌ただしくもなんだか楽しい
<第15話> 初めてのお泊まりで、初めて大泣きした夜のこと
<第16話> 甘え全開で嬉しいけど身体が(涙) でもとても大事な「甘え」の意味
<第17話> 今は何が最優先? 難しすぎる育児と家事のバランスゲーム
<第18話> 2回目のお泊まり お迎え時に聞いた初めての言葉
<第19話> 泣く理由が180°変わった3回目のお泊まり 愛着関係の移り変わり
<第20話> お客さんへの反応で垣間見えた、Aちゃんにとってのおうちの意味
<第21話> 交流最後の振り返り Aちゃんをおうちに迎え入れるためのミーティング(第1シーズン最終回)

国際モンテッソーリ教師、保育士/シロクマ   
30歳過ぎてからモンテッソーリに出会い、その考え方に惚れこむあまり国際資格を取る。その後、モンテッソーリ教師・保育士としてこどものいえや保育園で約10年働く。途中、結婚して子どもに恵まれなかったことがきっかけで里親制度に興味を持ち、里親として子どもの養育に関わりたいと思い、今に至る。現在2歳半の里子ちゃんの長期養育を目指して交流中。子どものためのモンテッソーリ、子どものための里親制度がより多くの人に知ってもらえたらという思いで執筆中。
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