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モンテッソーリ教育を受けた子どもは「脳の働き方」も違う? 最新の脳研究から見えてきたこと

モンテッソーリ教育を受けた子どもと、一般的な教育を受けた子ども。学び方の違いは、「脳の働き方」にも何らかの違いとして現れるのでしょうか?

今回取り上げるのは、AMI(国際モンテッソーリ協会)の「AMI Research Threads」が紹介した、とても興味深い脳研究です。研究では、モンテッソーリ教育を受けた経験のある学生と、従来型の教育を受けた学生の脳活動を比較しました。

その結果、両グループの間で、脳のネットワークの働き方に違いが観察されました。

ただし、これは「モンテッソーリ教育を受けたから脳が変わった」と証明した研究ではありません。では、いったい何がわかったのでしょうか。

脳の活動を調べる「fMRI」とは?

今回の研究では、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)という方法が使われています。一般的なMRIが主に脳の形や構造を見るために使われるのに対し、fMRIは脳の血流や血液中の酸素量の変化を利用して、脳の活動を調べる方法です。

私たちの脳は、一つの場所だけを使って考えているわけではありません。何かを考えたり、判断したり、記憶したりするときには、さまざまな領域がネットワークをつくって協力しています。しかも、そのネットワークはいつも同じ状態ではなく、時間とともに変化しています。今回の研究では、この「時間とともに変化する脳のネットワーク」に注目しました。

モンテッソーリ教育経験者では、異なるパターンが見られた

研究者たちは、モンテッソーリ教育を受けた経験のある学生と、従来型教育を受けた学生の「安静時」の脳活動を比較しました。安静時とは、算数の問題を解くなど、何か特別な課題に取り組んでいない状態のことです。

その結果、脳のネットワークがある状態から別の状態へ移っていくパターンなどに、両グループで違いが見られました。

研究者たちは、こうした違いが認知的な柔軟性や、さまざまな情報を統合する脳の働きと関連している可能性について考察しています。

モンテッソーリの環境を考えると、とても興味深い

ここで、普段のモンテッソーリ環境を思い浮かべてみましょう。

子どもは一日の活動をすべて大人から一斉に指示されるわけではありません。自分で活動を選び、必要なものを準備し、手を動かして取り組む。間違いに気づけばもう一度試し、活動が終われば片付け、そして次の活動を選びます。

一つの活動の中でも、見る、触る、動かす、考える、判断するなど、さまざまな働きを使っています。モンテッソーリ教育では、このように子ども自身が主体となって活動する経験を日々繰り返します。

そうした教育経験と、今回観察された脳ネットワークの違いとの間に何らかの関係があるのでしょうか。今回の研究は、その可能性を考えるための興味深い手がかりを示しています。

でも「モンテッソーリ教育が脳を変えた」とは言えない

ここは、この研究を読むうえでとても重要です。

今回の研究は、子どもたちを無作為に「モンテッソーリ教育」と「従来型教育」に分け、長期間追跡した実験ではありません。すでに異なる教育経験を持っている学生たちを比較した研究です。

そのため、家庭環境や本人の特性、それまでの生活経験など、教育以外の要因が影響している可能性もあります。

つまり今回の研究から言えるのは、「モンテッソーリ教育経験者と従来型教育経験者の間で、脳ネットワークの働き方に違いが観察された」というところまでです。「モンテッソーリ教育によって、その違いが生まれた」とまでは言えません。

それでも、この研究が面白い理由

これまでのモンテッソーリ教育研究では、算数や読み書き、実行機能、社会性など、子どもの行動や能力を比較する研究が数多く行われてきました。今回の研究が興味深いのは、そのさらに奥にある脳のネットワークの働きそのものを調べようとしているところです。

マリア・モンテッソーリが子どもたちを観察していた時代には、もちろんfMRIのような技術はありませんでした。モンテッソーリが見ていたのは、自分で活動を選ぶ子ども、手を使いながら考える子ども、同じ活動を何度も繰り返す子ども、そして深く集中していく子どもの姿でした。

それから100年以上が経った現在、そのような教育環境で育った経験と、人間の認知や脳の働きとの関係を現代の科学で調べようとする研究が始まっています。

結局、この研究から何がわかったの?

今回の研究を一言でまとめるなら、「モンテッソーリ教育経験者と従来型教育経験者では、脳ネットワークの動き方に違いが見つかった。ただし、その違いをモンテッソーリ教育が生み出したとは、まだ証明されていない」ということです。

「モンテッソーリ教育は脳に良い」と結論づけられる研究ではありません。しかし、100年以上前に子どもの観察から生まれた教育について、現在では脳の働きという視点からも研究が始まっている。そこが、この研究のとても興味深いところです。

今後、より多くの子どもを対象にした研究や、長期間にわたって発達を追跡する研究が積み重なれば、モンテッソーリ環境での経験と脳の発達との関係について、さらに多くのことがわかってくるかもしれません。

※この記事はAMI(Association Montessori Internationale)の公式翻訳ではありません。AMI Research Threadsおよび原著論文などの公開情報を参考に、バンビーノが日本の保護者・教育関係者向けに独自に要約・解説しています。

参考資料

Zanchi, P., Mullier, E., Fornari, E. et al.(2024)
Differences in spatiotemporal brain network dynamics of Montessori and traditionally schooled students.
npj Science of Learning, 9, 45.

Association Montessori Internationale(AMI)
AMI Research Threads「Differences in Spatiotemporal Brain Network Dynamics of Montessori and Traditionally Schooled Students」

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