Season 2 <第1話> Aちゃんが我が家に来た日 たくさんのお別れを胸に
シロクマさんのコラム「ようこそわが家へ~モンテッソーリ×里親活動の記録~」のシーズン2がいよいよスタートします。シーズン1から1年4ヶ月。あれからのご家族はどのような生活を送っていたのでしょうか。
ご無沙汰しています。
Aちゃんがおうちに来てから早1年数ヶ月。その間にいろいろなことがありました。
それでもなお、今でもAちゃんが我が家での生活をスタートさせた日のことは忘れられません。
その日は、秋の少し暑い日でした。
その1週間前に、最後のお泊まりから受け入れ当日まで日が空いてしまったので、乳児院の方で日帰り交流をしました。そのときには私たちの方にはほとんど来ず、担当さんに抱っこ抱っこで離れませんでした。
「Aちゃんは、大人の雰囲気や会話から、もうすぐ私と離れることを察知しているんだと思います。…おうちは確かに楽しいです。絶対的に楽しみではあるんだけど、それ以上に今は、慣れ親しんだここの生活がもうすぐ終わる、私という親代わりの大人と離れるという不安感の方が強いみたいです。」
と伝えて頂きました。
仰ってることは本当によくわかり、Aちゃんの気持ちもずんずん伝わってきて、私たちの気持ち云々よりもAちゃんの気持ちを思って切なくなっちゃいました。
そしてお引越し当日。
直前の切ない姿を見ていたので(今日は泣くのかな 1日荒れるのかな)とドキドキでした。
でもどうなっても、ぜんぶ受け止めようとも思っていました。
Aちゃんに会う前に事務的な手続きの引継ぎをしました。通っている病院関連のことや金銭面の管理のことなど。
それが終わってから、担当さんがどのようにAちゃんにお引越しの話をしてくれたのか、自作のフォトブックを使って説明して下さいました。
フォトブックでは、Aちゃんが生まれてからおうちに来るまでのことが、写真付きの絵本のように作られていて、
まずここで、涙目。
そして担当さんからダメ押しで
「今日も『おとーたんとおかーかん、おむかえこない。…こわい。』って言ってたんです。新しい生活で、自分に何が起こるのか分からなくて、不安で不安でたまらないんだと思うんです。その一言に、Aちゃんの気持ちが全部集約されていると思うので、どうかそこを受け入れてあげて下さい」
全部の説明が終わってから、Aちゃんが連れられてきました。職員の皆さんからいただいた、紙袋いっぱいのお餞別とともに。同じお部屋の子どもたちも全員、お見送りに来てくれました。
またここで涙目。
職員さんやお友達のおかげで私たちとAちゃんが仲良くなれたので、本当にありがとうございました。という気持ちでいっぱいでした。しゃべろうとすると涙がこぼれてしまいそうだったので、お見送りの皆さんに深々とお辞儀をして、車に向かいました。
Aちゃんは、お友達全員にタッチして、担当さんの抱っこで車のところにやってきました。
そこから私にバトンタッチして、チャイルドシートに乗りました。
担当さんは静かに泣いていました。
Aちゃんはそれを見て、不安げな表情で固まっていました。
そうやって、車が出発して我が家に向かいました。
車が家に到着して、夫はそれから、仕事に行きました。(平日だったのです)
Aちゃんとふたりでお見送りをしました。
ふたりきりになると、Aちゃんの方からいろいろ聞いてきました。
「Aちゃん、ここのおうちにずっと住むの?」
「そうだよ。お父さんとお母さんと3人で住むんだよ」
「Aちゃんもう○○(乳児院)に戻れないの?」
「んー、遊びに行くことはできるよ」
「Aちゃんもう○○(担当さん)と住めないの?」
「そうねぇ、会いに行くことはできる…」
「一緒に住めないの?」
あまりの怒涛の質問攻めに、こちらもポジティブ変換が間に合わず
「…うん。住めないの」
と素直すぎる答え方をしてしまいました。
そうしたら、もうほんとうに
なんて悲壮的な!!!
という泣き方で、
Aちゃんはおいおい泣き崩れてしまいました。
ごめん。
ていうか、
まだこんなに小さいのにさぁ
こんな大きな別れを体験しなきゃいけないなんてさぁ
辛いよねぇ
悲しいよねぇ
と、ひしと抱きしめて、二人でおいおい泣きました。
(今これを書きながらも思い出し泣きしてます)
でも今思うと、こうやってAちゃん自身が、お別れを自分なりに飲み込んで、変わる生活と向き合う準備を自分でしていたんじゃないかと感じて、何とも切ない気持ちになります。
こうやって、3人での生活がいよいよ始まりました。
ここから、今までの交流では見られなかったAちゃんの姿が見えてきて、嬉しい以上に大変な日々が始まったのです。
Season 2 <第1話> Aちゃんが我が家に来た日 たくさんのお別れを胸に
Season 2 <第2話> Aちゃんの素が出た日 それは想像していた姿とだいぶ違っていて
Season 2 <第3話> 素でぶつかってくるAちゃん、それを受け入れようとする私たち。でも現実は…
Season 2 <第4話> 自分も子どもも辛い日々 誰でもいいから助けて欲しい
Season 2 <第5話> 今、必要なのは自己観察だった 嫌いになりかけたモンテッソーリに戻った瞬間
Season 2 <第6話> 私が苦手なこと:他人の手を借りる
Season 2 <第7話> 私一人が頑張らない。そのための環境整備
Season 2 <第8話> 幼稚園の始まり、子どもの成長、私一人の時間!
Season 2 <第9話> 実家との交流 新しい親戚、新しい家族
Season 2 <第10話> ママ友との出会いとつながり 孤育てはあぶない
Season 2 <第11話> モンテッソーリ的観察で生活が変わってきた話 着替え編
Season 2 <第12話> モンテッソーリ的観察で生活が変わってきた 食事編
Season 2 <第13話> モンテッソーリ的観察で生活が変わってきた 歯磨き編
Season 2 <第14話> モンテッソーリ的観察で生活が変わってきた? 片づけ編
Season 2 <第15話> モンテッソーリを知っていても全然うまくいかない 声かけ編
Season 2 <第16話> モンテッソーリ知っててよかった トイレラーニング編
Season 2 <第17話> モンテッソーリ知っててよかった? 歌でコミュニケーション編
Season 2 <第18話> 雑談 Aちゃんとバギー
Season 2 <第19話> 結果、愛着形成。 絵本の読み聞かせ
Season 2 <第20話> 実親さんの存在をどう話すか
Season 2 <第21話> なぜこんなに〇〇なのか
Season 2 <第22話> 最終的に大切なのは、愛
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国際モンテッソーリ教師、保育士/シロクマ 30歳過ぎてからモンテッソーリに出会い、その考え方に惚れこむあまり国際資格を取る。その後、モンテッソーリ教師・保育士としてこどものいえや保育園で約10年働く。途中、結婚して子どもに恵まれなかったことがきっかけで里親制度に興味を持ち、里親として子どもの養育に関わりたいと思い、今に至る。現在2歳半の里子ちゃんの長期養育を目指して交流中。子どものためのモンテッソーリ、子どものための里親制度がより多くの人に知ってもらえたらという思いで執筆中。 |
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