「モンテッソーリ玩具」なら安全? – 3歳未満向け「子供PSCマーク」で変わったおもちゃ選び

インターネットで「モンテッソーリ 玩具」と検索すると、たくさんの商品が出てきます。
木でできたパズル。
ひも通し。
型はめ。
ビーズ。
ねじを回すおもちゃ。
指先を使う細かな活動。
「モンテッソーリ」「知育」「木製」と書かれていると、なんとなく子どもに良さそうで、安全そうな印象を持つかもしれません。
でも、ここで一つ知っておきたいことがあります。
「モンテッソーリ」と書かれていることと、その玩具の安全性が確認されていることは別です。
日本では2025年12月25日から、3歳未満向けの玩具について、新しい安全規制が始まりました。
キーワードは「子供PSCマーク」です。
3歳未満向け玩具に、新しい安全規制が始まった
2025年12月25日から、3歳未満の乳幼児が遊ぶためにつくられた玩具は、消費生活用製品安全法の「子供用特定製品」の対象になりました。
対象となる玩具を2025年12月25日以降に国内で製造・輸入する事業者には、国が定めた技術基準への適合確認に加え、対象年齢や使用上の注意事項、子供PSCマークの表示などが求められます。
販売する側も、対象となる新しい乳幼児用玩具については、必要な表示がない製品を販売できません。
子供PSCマークは、丸いPSCマークに子どもの顔を組み合わせたデザインです。
これから3歳未満向けのおもちゃを購入するときには、確認しておきたい表示の一つになります。
▶ 経済産業省「始まるよ!子供PSCマーク」をYouTubeで見る
なぜ3歳未満の玩具が対象になったのか
乳幼児は、大人とはまったく違う方法で物を確かめます。
触る。
振る。
たたく。
引っ張る。
そして、口に入れる。
これは乳幼児期では自然に見られる探索行動です。
しかしそのため、小さな部品が外れる玩具などでは、誤飲や窒息につながる危険があります。
経済産業省は、東京消防庁のデータを引用し、小さなおもちゃや部品などの誤飲で毎年約1,000人の乳幼児が救急搬送されていること、命に関わるおそれのある誤飲・窒息事故の約9割が3歳未満で起きていると説明しています。
また近年は、海外製品をインターネット通販で簡単に購入できるようになりました。
日本国内の安全基準を満たしているか分かりにくい製品も流通するようになったことが、今回の制度導入の背景の一つです。
「モンテッソーリ玩具」という名前に、安全基準があるわけではない
ここは特に大切です。
「モンテッソーリ玩具」「モンテッソーリ式知育玩具」といった商品名は、子供PSC制度とは関係ありません。
そもそも「モンテッソーリ玩具」という国の認証制度があるわけではありません。
商品名に「モンテッソーリ」と書かれていても、
安全基準を満たしているか。
対象年齢に適した設計か。
小さな部品が外れないか。
塗料や材料は適切か。
といったことは、別に確認する必要があります。
これは「木製」も同じです。
木でできているから安全。
自然素材だから安全。
とは限りません。
素材の印象ではなく、製品としてどのようにつくられているかを見る必要があります。
「対象年齢3歳以上」と書いてあれば安心?
ここも少し注意が必要です。
経済産業省によると、今回の法律の対象は、「遊ぶことを目的として設計されたもの」で、「出生後36か月未満の乳幼児向けのもの」です。
つまり、本当に3歳以上の子ども向けとして設計されている玩具なら、今回の乳幼児用玩具の規制対象ではありません。
ただし、商品ページにただ「3歳以上」と書いてあれば何でもよい、という意味ではありません。
製品の形状や機能、広告、説明書などから、実際に誰が使うことを想定して設計された商品なのかが判断されます。
特にオンラインショップでは、
「1歳からおすすめ」
「赤ちゃんの知育に」
「指先遊び」
などと紹介されながら、別の場所には「3歳以上」と書かれている商品もあります。
保護者としては、数字だけを見るのではなく、実際にどの年齢の子ども向けに販売されている商品なのかも確認したいところです。
子供PSCマークがない玩具は買ってはいけない?
ここも誤解しやすいところです。
子供PSCマークがないからといって、すべて違法商品というわけではありません。
2025年12月25日より前に国内で製造または輸入された3歳未満向け玩具については、子供PSCマークがなくても引き続き販売できます。
そのため、現在しばらくの間は、
子供PSCマークのある商品と、
制度開始前につくられたマークのない商品が、
店頭やオンラインショップに混在することになります。
制度開始前の商品については、日本玩具協会の「STマーク」が付いているか確認することも、一つの目安になります。
モンテッソーリ教育では「本物」を使うこともある
ここで、モンテッソーリ教育ならではの少し難しい問題があります。
モンテッソーリの教室では、一般的な「おもちゃ」だけを使うわけではありません。
例えば、
小さなピッチャー。
ガラスのコップ。
スプーン。
トング。
ブラシ。
はさみ。
針。
包丁。
など、実際の生活で使う道具を、子どもの発達に合わせて使うことがあります。
これらは、遊ぶためにつくられた「玩具」とは違います。
そのため、子供PSCマークの制度が、教室で使うすべての道具や教具に一律に適用されるわけではありません。
今回の規制の対象になるのは、原則として「3歳未満の乳幼児が遊ぶために設計された玩具」です。
だから、
「PSCマークがないものは子どもに使わせてはいけない」
という理解も正しくありません。
大切なのは、「自立」と「安全」を対立させないこと
モンテッソーリ教育では、子どもが自分でできることを大切にします。
でも、「自分でやらせること」と「危険なものを自由に使わせること」は同じではありません。
教師は、子どもの発達段階を観察しながら、
今、この道具を扱えるか。
口に入れる可能性はあるか。
落としたときに危険はないか。
小さな部品は外れないか。
大人がそばにいる必要があるか。
を考えます。
これは、モンテッソーリ教育でいう「準備された環境」の大切な一部です。
自由に使える環境をつくるためには、その前に大人が安全を確認しておく必要があります。
1歳半〜3歳は、まだ「口で確かめる」こともある
バンビーノの1歳半〜3歳のクラスでも、子どもが物を口へ持っていく姿を見ることがあります。
大人から見ると「もう赤ちゃんではない」と感じる年齢でも、発達の途中では、興味を持った物を口で確かめることがあります。
だから教室では、
「これは小さいから出さない」
「この子にはまだ早い」
「今日は大人が近くで見よう」
といった判断をします。
同じ教具でも、すべての子どもに同じ時期から出すわけではありません。
商品に書かれた対象年齢だけではなく、目の前の子どもが今どんな使い方をするのかを見ることも、安全な環境づくりには欠かせません。
オンラインで「モンテッソーリ玩具」を買うときに見ておきたいこと
これから3歳未満向けのおもちゃを選ぶときには、「モンテッソーリ」という言葉だけで判断せず、いくつか確認してみてください。
まず、対象年齢。
そして、新しく製造・輸入された3歳未満向け玩具なら、子供PSCマークがあるか。
制度開始前の商品なら、STマークなど安全性を確認できる表示があるか。
さらに、写真だけでは分かりにくい、
部品の大きさ。
外れやすいパーツ。
ひもの長さ。
塗装。
破損したときの状態。
なども確認したいところです。
特に海外通販や、販売者・製造者が分かりにくい商品では、価格やデザインだけで判断しない方が安心です。
「モンテッソーリ」と書かれているかより、何が用意されているか
モンテッソーリ教育では、子どもに何を与えるかを慎重に選びます。
それは「有名な知育玩具だから」でも、「モンテッソーリと書いてあるから」でもありません。
その子の発達に合っているか。
自分で扱えるか。
活動の目的が明確か。
安全に繰り返せるか。
そして、本当に今その子が必要としているものなのか。
新しく始まった子供PSCマークは、乳幼児のおもちゃを選ぶときの大切な安全基準の一つになります。
でも、マークだけですべてが決まるわけではありません。
制度による安全確認と、大人による日々の観察。
その両方があってこそ、子どもが安心して「自分でやってみる」ことのできる環境につながっていきます。
参考資料・出典
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