日本初のAMI教師養成センターを訪ねて – 町田・森野トレーニングルーム見学記

2026年10月25日(日)、東京都町田市にある「東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター」の森野トレーニングルームを訪ねました。
町田駅から歩いて数分。建物の8階に足を踏み入れると、そこにはモンテッソーリ教育の教具が美しく並ぶ、明るく開放的な空間が広がっていました。
ここは、モンテッソーリ教師を目指す人たちが、子どもの発達や教具の扱い方を専門的に学ぶ場所です。
日本で最初にAMI(国際モンテッソーリ協会)の認可を受けた、50年以上の歴史を持つ教師養成センター。その歴史ある学びの場では、どのような環境が用意され、どのように教師が育てられているのでしょうか。
今回はオープンハウスで見学したトレーニングルームの様子を、たくさんの写真とともにご紹介します。
11月にもオープンハウスが予定されていますので、モンテッソーリ教育に興味のある方は、ぜひ訪問の参考にしてみてください。

森野トレーニングルームの入口。
1975年創設。日本で最初のAMI公認教師養成センター
東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンターは、AMI(国際モンテッソーリ協会)から日本で初めて公認された、3〜6歳のモンテッソーリ教師養成トレーニングセンターです。
その歴史は1975年10月19日に始まります。
創設したのは、故・松本静子先生です。
松本先生はイタリアでアントニエッタ・パオリーニに師事し、3〜6歳のモンテッソーリ教師資格を取得。その後、0〜3歳、6〜12歳の資格も取得し、アメリカで教師養成者としての準備を重ねました。
1975年、東京都新宿区四谷にトレーニングセンターを開設し、最初の学生たちを迎えます。
翌1976年には神奈川県相模原市の鵜野森へ移転。1983年には同じ鵜野森地区に新たなトレーニングセンターを構え、長年にわたって教師養成を続けてきました。
その後も、付属園の設立や国際的な活動などを通して、日本におけるモンテッソーリ教育の普及を支えてきました。
そして2021年、町田駅近くの森野に新しいトレーニングルームが開設されました。
現在もセンター事務所は相模原市鵜野森にあり、森野トレーニングルームは講義や教具の実践練習などを行う学びの場となっています。
創設から50年以上。公式サイトによると、これまでに2,300名を超える国際資格を持ったモンテッソーリ教師を送り出してきたそうです。
日本のモンテッソーリ教育の歴史を考えるうえでも、大切な役割を果たしてきたトレーニングセンターです。
松本静子先生の歩みを受け継ぐ、三浦勢津子先生
現在、センターの代表として教師養成を担っているのが、AMI公認3〜6歳教師養成トレーナーの三浦勢津子先生です。
三浦先生は、2002年からAMI横浜の0〜3歳トレーニングコースで、AMIトレーナーのシルバーナ・Q・モンタナーロ博士の通訳を務め、2003年にAMI0〜3歳教師資格を取得されました。
2006年には松本静子先生のもとでAMI3〜6歳教師資格を取得。その後、モンテッソーリ・スクール・オブ・東京で実践経験を重ね、2015年からはアメリカのセントルイスでアネット・ヘインズ博士に師事し、教師養成トレーナーとしての研鑽を積まれました。
2019年にAMI3〜6歳教師養成トレーナーの資格を取得し、現在は日本での教師養成に加え、中国、ベトナム、韓国などでAMIの試験官も務められています。

東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター代表・AMI公認3〜6歳教師養成トレーナー、三浦勢津子先生。
モンテッソーリ教育では、教師自身が子どもの発達を深く理解し、適切な環境を準備することが求められます。
その教師を育てるトレーナーには、実践経験だけでなく、発達理論や教具の提供方法、観察について伝える高度な専門性が必要です。
松本静子先生が築かれた日本のAMI教師養成の歩みが、三浦先生へ、そして今学んでいる受講生へと受け継がれていることを感じます。
教具が整然と並ぶ、森野トレーニングルーム
それでは、実際の室内をご紹介します。

室内の中央には世界の国旗や文化の教具が置かれ、周囲には活動分野ごとの棚が並んでいます。
トレーニングルームは広々としており、日常生活の練習、感覚教育、言語教育、数教育、文化といった分野ごとに教具が整理されています。
子ども用の小さな机や椅子、床に広げるためのマットなども用意され、実際の子どもの環境を想定しながら練習できるようになっています。
棚には一つひとつの教具が丁寧に配置され、植物や写真なども自然に取り入れられています。
教師養成のための施設ですが、単なる講義室ではありません。
子どもが何を見て、どのように道具を手に取り、どのように活動するのか。その環境そのものから学べる場所になっているのが印象的でした。
日常生活の練習 ― 道具の一つひとつに意味がある

日常生活の練習のエリア。小さな机や椅子も配置されています。
日常生活の練習の棚には、水を使う活動、身の回りを整える活動、手先を使う活動など、さまざまな仕事のための道具が準備されています。

道具がそれぞれのトレイに整えられた棚。色や素材の組み合わせにも目が留まります。

モンテッソーリ教育では、教師が単に作業のやり方を教えるのではなく、子どもが自分でできるようになるための援助を考えます。
そのため、道具の置き方、手の動き、活動の順序、後片付けまで、教師自身が繰り返し練習することが大切です。
特に印象に残ったのが、テラスに面した窓際に用意されていた、水を使う活動のコーナーです。

窓から明るい光が差し込む水の活動のコーナー。水差しやたらい、スポンジ、布などが準備されています。
外から自然光が差し込み、とても気持ちのよい一角でした。
水の活動は、子どもにとって魅力的なものの一つです。水を注ぐ、洗う、拭く、片付けるといった一連の活動には、運動の調整や集中、自立につながる経験が含まれています。
こうした何気ない活動を教師が深く理解することも、トレーニングの大切な一部です。
感覚教育 – 教具を通して世界を理解する
感覚教育のエリアには、モンテッソーリ教育を代表する教具が並んでいました。

ピンクタワーや円柱さし、茶色の階段などが配置された感覚教育のエリア。


感覚教具は、子どもが視覚や触覚などを通して経験している世界を、整理し理解していくための援助となります。
教師は、教具の名称や使い方を覚えるだけではありません。
一つの教具がどのような性質を際立たせているのか、どのような順序で提示するのか、子どもの反応をどう観察するのかを学びます。
棚に並んだ教具を見ていると、その一つひとつの背後に、子どもの発達についての深い理解があることを改めて感じました。
言語教育 – 文字や言葉の世界へ

言語教育のエリア。メタルインセッツや文字に関する教材、絵カードなどが並んでいます。
言語教育の棚には、書くための手の準備から、文字と音の結びつき、読む活動へとつながる教材が並んでいます。
モンテッソーリ教育の言語活動は、文字を機械的に覚えることから始まるのではありません。
手を使い、音に親しみ、言葉への関心を育てながら、子ども自身が文字の世界へ向かっていきます。
教師は、子どもの言語発達を理解したうえで、それぞれの段階に合った援助を考えていきます。
数教育 – 具体物から抽象的な理解へ

数教育のエリアにも、数多くの教具が用意されていました。
モンテッソーリ教育では、数を記号として覚えるだけでなく、量を実際に扱う経験を重ねながら、少しずつ抽象的な理解へと進んでいきます。
教師養成では、それぞれの教具がどのような数学的概念につながっているのかを理解し、正確に提供するための練習を重ねます。
文化 – 子どもの興味を世界へ広げる

地球儀や世界の国旗、音感ベルなどが置かれた文化のエリア。
文化のエリアには、地球儀や世界の国旗、地形の教材などが並んでいました。
モンテッソーリ教育の文化活動は、地理や生物、歴史などを通して、子どもの興味を身近な環境から広い世界へとつなげていきます。
教具に実際に触れることから始まり、世界への理解が少しずつ広がっていく。そのための環境がここにも準備されています。
実際に学ぶ受講生の姿も
オープンハウスでは、トレーニングセンターで学ぶ受講生の方々の姿も見ることができました。

数のカードを広げて学ぶ受講生のみなさん。許可をいただいて撮影しました。
床にマットを広げ、数のカードを並べながら学んでいる様子は、モンテッソーリ教師養成ならではの風景です。
教師は、教具についての説明を聞くだけでなく、自分自身の手を使って練習を重ねます。
実際に教具を扱い、その順序や動きを確かめることが、子どもの活動を援助するための準備になります。
一見すると子どもの活動に似ていますが、そこには教師として学ぶ大人の真剣な取り組みがあります。
働きながらでも学びやすく。2027年度からの新しいスケジュール
今回の見学で、もう一つ注目したいと感じたのが、教師養成コースの学び方の変化です。
2022年に三浦先生からご案内いただいた際、昼間部は1年間、夜間部は2年間で、昼間部は月曜日から木曜日、夜間部は週2日の通学を中心とするスケジュールでした。
現在は講義の時間や通学日程が見直され、以前よりも通いやすい形へと変わってきています。
三浦先生からも、従来の時間の組み方を見直しているというお話を伺いました。
公式サイトで案内されている2027年度の3〜6歳ディプロマコースは、次のようになっています。
【昼間部】約9か月の短期集中型
2027年6月1日に開講し、約9か月でAMI国際教師資格の取得を目指すコースです。
講義期間を集中させ、通学が必要な週も原則週4日以下にするスケジュールが予定されています。
従来の約1年間という期間に比べ、より集中的に学ぶ形となっています。
【夜間部】2年間。オンラインと週1日の対面授業を組み合わせる
夜間部は2年間をかけて学ぶコースです。
オンライン講義に加え、対面授業がある期間は週1日の通学を基本とする形になっています。
対面授業は18時から21時まで。水曜日や木曜日などの通学日が案内されており、仕事を続けながら学ぶ方にとって、従来よりも予定を組みやすい仕組みです。
もちろん、週1回の通学だけで資格が取得できるわけではありません。
オンライン講義、教具の実践練習、観察・教育実習、教材制作や課題、卒業試験など、AMIのディプロマ取得に必要な学びは引き続き求められます。
それでも、毎週複数回の通学が難しくて教師養成を諦めていた方にとっては、検討しやすい選択肢が増えたのではないでしょうか。
また、公式サイトの案内によれば、保育士や幼稚園教諭などの資格を持っていない方も入学することができます。
子どもに関わる仕事をしている方はもちろん、これからモンテッソーリ教育を専門的に学びたい方にも開かれたコースです。
全課程を修了し、必要な要件を満たして卒業試験に合格すると、AMI公認の3〜6歳モンテッソーリ教師ディプロマが授与されます。
2027年度コースの出願も始まっています。詳しい通学日程や募集要項については、センターの公式サイトをご確認ください。
11月29日(日)にもオープンハウスを開催
今回訪れた森野トレーニングルームでは、2026年11月29日(日)にもオープンハウスが予定されています。
東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター オープンハウス
開催日:2026年11月29日(日)
時間:10:00〜15:00
会場:森野トレーニングルーム
住所:東京都町田市森野1-36-9 町田森野一丁目ビル8階
アクセス:小田急線・JR横浜線 町田駅東口より徒歩約3分
予約:不要(時間内は自由に見学可能)
持ち物:上履き
お子様連れでの参加も可能です。専用駐車場はありませんので、お車の場合は近隣のコインパーキングをご利用ください。
なお、会場への入口はSAPIX正面入口のある旧町田街道側ではなく、建物の裏通り側です。
詳しくは公式サイトのアクセス・オープンハウス案内をご確認ください。
50年以上の歴史を、次の世代へ
1975年に松本静子先生が四谷で始めた教師養成の歩みは、相模原の鵜野森へ、そして町田の森野トレーニングルームへとつながってきました。
時代とともに学び方や環境は変化しても、子どもの発達を理解し、自立を援助する教師を育てるという大切な役割は変わりません。
今回の見学では、そうした歴史を持つセンターが、現代の受講生の生活に合わせて学び方を工夫しながら、教師養成を続けていることを知ることができました。
何より、棚に整えられた教具や、真剣に学ぶ受講生の姿に触れることで、モンテッソーリ教師を育てる環境の大切さを改めて感じました。
モンテッソーリ教育に関心がある方、これから教師を目指したい方、そしてすでに現場で活動している先生方にも、ぜひ一度訪れていただきたい場所です。
三浦勢津子先生、トレーニングセンターのみなさま、このたびは貴重な見学の機会をありがとうございました。
東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター
公式サイト:https://www.montessori-training-japan.org/
所在地(森野トレーニングルーム):東京都町田市森野1-36-9 町田森野一丁目ビル8階
代表・AMI公認3〜6歳教師養成トレーナー:三浦勢津子
※掲載写真は2026年10月25日のオープンハウスにて撮影しました。
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