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朝、「自分で!」で間に合わない – その服、子どもが自分で扱いやすいですか?

朝、出かける時間が迫っている。
そんなときに限って、子どもが言います。

「自分で!」

急いでいる大人は、できれば手伝って早く進めたい。
でも本人は譲らない。

袖に手を入れようとして止まる。
ズボンがなかなか上がらない。
小さなボタンと格闘している。

時間だけが過ぎていきます。

そんな朝に、

「まだ一人で着るのは難しいのかな」

と思うことがあります。

でも、その前に一度見てみたいことがあります。

その服、本当に子どもが自分で扱いやすい服でしょうか。

「自分で!」と言ったときに、服の難しさが見えてきます

大人が着せている間は、服の扱いにくさにはあまり気づきません。

袖に手を通してあげる。
首を広げてあげる。
後ろのファスナーを上げる。
小さなボタンを留める。

大人なら数秒です。

ところが、子どもが「自分で」と始めた瞬間、その服に必要な動作が全部見えてきます。

袖口が細い。
首が狭い。
ウエストがきつい。
ボタンが小さい。
ファスナーが背中にある。
フリルや飾りが多く、前後が分かりにくい。

子どもの能力だけではなく、服そのものの難易度が高いことがあります。

ヒラヒラ、細身、小さなボタンは、大人が思う以上に難しい

子ども服には、かわいいものがたくさんあります。

でも、「自分で着る」という視点で見ると、扱いにくい服も少なくありません。

たとえば、袖が細い服。
手は入ったのに、途中で引っかかる。
袖の中で手の向きが分からなくなる。

ぴったりしたズボンも、自分で引き上げるにはかなり力が必要です。

小さなボタンは、指先でつまみ、穴の向きを合わせ、押し込み、反対側から引き出すという複雑な動作になります。

フリルや重なりの多い服は、どこが前で、どこに腕を入れるのか分かりにくくなることがあります。

大人から見ると「普通の服」でも、子どもにとっては難しい課題になっているのです。

AMIのAid to Lifeでも、子どもが扱いやすい衣服を用意することを大切にしています

AMI(Association Montessori Internationale/国際モンテッソーリ協会)のAid to Lifeでは、着替えの自立を支えるために、子どもが自分で扱いやすい服や環境を用意することを大切にしています。

モンテッソーリ教育では、子ども側に「もっと頑張ること」だけを求めるのではなく、

「この環境は、子どもが自分でできるようにつくられているか」

を考えます。

衣服も同じです。

頭が通しやすい。
袖口にゆとりがある。
ウエストが柔らかい。
前後が分かりやすい。
留め具が子どもの指で扱える。

そうした服であれば、「自分で!」という気持ちが、そのまま実際の経験につながりやすくなります。

着替えやすい服は、トイレットラーニングにもつながります

服の扱いやすさは、朝の着替えだけの問題ではありません。

モンテッソーリでは、一般に「トイレトレーニング」と呼ばれるものを、トイレットラーニングとして考えます。

大人が決まった時間にトイレへ連れて行き、成功させることだけが目的ではなく、子ども自身が身体の感覚に気づき、トイレへ行き、衣服を扱い、排泄し、また身支度を整えるところまでを少しずつ自分の生活にしていきます。

そこで、とても重要になるのがズボンです。

尿意を感じてトイレへ行けても、

ズボンが細すぎる。
ウエストが硬い。
ボタンやホックを外さなければ下ろせない。
サロペットなど、上半身から外さなければならない。

という服では、自分で間に合うことが難しくなります。

自分で下ろせて、自分で上げられること。

ゴムのウエストで、身体にぴったりしすぎず、両手でつかんで上下させやすいズボンは、トイレットラーニングの時期にとても扱いやすい服です。

「トイレに行けるようになったのに、なかなか一人ではできない」というときも、子どもの排泄そのものだけでなく、衣服がその自立を邪魔していないかを見てみます。

朝の普段着は、できるだけシンプルでいい

自分で着替えようとしている時期には、毎日の服をできるだけシンプルにしておく方が扱いやすくなります。

伸びるTシャツ。
ゆとりのあるトレーナー。
ゴムのズボン。
前後が分かりやすいデザイン。

子ども自身が、

「ここを持つ」
「ここに頭を入れる」
「ここまで引っ張る」

と分かる服です。

特に自立がまだ途中の時期には、日常的に選べる服の中へ、フリルが何重にもあるものや、細身で扱いにくいもの、複雑なお姫様のような服をたくさん入れない方がよいことがあります。

一度気に入ると、

「毎日これがいい」

となることもあります。

そうなると、本人は自分で着たいのに、服の構造は一人では扱いにくいという状態が続きます。

自分で着替える力が育っている時期には、まず「自分で扱える普段着」が自然に選ばれる環境にしておく。

これは選択を奪うというより、今の発達に合った選択肢を用意することです。

服を選ぶなら、大人が先に「選べる服」を用意する

朝、何十着もある中から自由に選ぶ必要はありません。

大人が、その日の気温や予定に合い、なおかつ子どもが扱いやすい服を2つほど選んでおく。

その中から、

「今日はどっちにする?」

と選べます。

どちらを選んでも自分で扱いやすい。

それなら、選択と着替えの自立を両方支えられます。

靴や靴下も、自分で扱えるかを見る

靴も「自分で!」が出やすい場面です。

靴ひもを結ぶ。
小さなバックルを留める。
硬い靴に足を押し込む。

こうした靴は、自立の初期には難しいことがあります。

履き口が大きく開き、子ども自身で留め外ししやすいマジックテープの靴は、特に扱いやすい選択肢です。

自分で足を入れやすく、ベルトを引っ張る場所も分かりやすく、留める位置も目で確認できます。

靴下も、細くてぴったりしたものより、履き口に少し余裕があり、子どもの手でつかみやすいものの方が扱いやすくなります。

朝に困っているなら、「もっと練習」より服を見直す

毎朝、

「自分で!」
「でも間に合わない」

が繰り返されているなら、子どもを急かす前に、一度服を並べて見てみます。

この首まわりは、自分で頭を入れられるか。
この袖は、自分の手で通せるか。
このズボンは、自分で上げ下げできるか。
このボタンは、今の指先で扱える大きさか。
この靴は、自分で履いて留められるか。

そこを変えるだけで、朝の様子が大きく変わることがあります。

「自分で!」を守るのは、待つことだけではありません

子どもが「自分で!」と言ったとき、大人ができることは、ただ長く待つことだけではありません。

自分でできる服を用意しておくこと。

それも大切な援助です。

忙しい朝に「自分で!」が始まっても、

頭を通せる。
腕を入れられる。
ズボンを上げられる。
マジックテープの靴を履ける。

そんな環境なら、大人がすべてを代わる場面は少なくなります。

「自分で着たい」という気持ちと、実際に自分でできる環境がつながったとき、着替えは少しずつ大人の仕事ではなく、子ども自身の生活になっていきます。

参考資料

Association Montessori Internationale(AMI)/Aid to Life
着替え・衣服に関するFAQ

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