モンテッソーリ教育について、広く知っていただくための情報発信サイト

前回の「モンテソーリから学ぶ子育てコラム」にやり方を見せるのは実はむずかしい！
教育技術のポイントを知る必要がある！と書きました。
実際、やり方を見せるとはどういうことでしょうか？

①こどもがやりたがっている活動を一つだけにする。
　たとえばタオルをたたむ作業
②その活動を構成している部分を分析する。
　あなたはタオルをたたみたいのね。大人が「本当は自分でやりたいはず」と思うことが大事。
③必要不可欠な部分を取り出して、子供の前でゆっくり、はっきり、順序だてて「して見せる」。
④「して見せる」時は黙ってする。（言葉と動作を切り離す）
⑤して見せた後に、簡単に言葉で説明する。

どうでしょう？
「なーんだそんな事、簡単！」「特別な技術じゃないじゃない」「いつもやってるよっ」
と思いますか？

幼児期の子ども達は「随意筋肉運動の調整期」にあります。
それは、子どもが自分の意思で動かす随意筋を目的にかなって使えるように訓練する時です。
そこに注目するのです。この「幼児期の子どもの前でする必要性」を強調したのが、モンテッソーリです。

自分が「こうしたい」と思ったことを自分の意志通りに実現できるようになりたい時期。
つまり随意筋の調整期にいる子はどうすれば自分でできるか「働き方」を学びたいと思っています。

マリア・モンテッソーリはゆっくり、黙って、「して見せる」方法が有効だと発見します。

やりたいけど、うまくできない。
↓
「ゆっくり」「はっきり」して見せる
↓
食い入るように真剣に見る
↓
子どもの脳の中で動作の順序を記憶し、組み立てます。
↓
ただ、出来るようになるのではなく、「見通しを立てる能力」も育ちます。
↓
見通しが立てられれば →努力ができる →恐れがなくなります。

「ゆっくり、はっきり、して見せる」という教え方は、
随意筋肉運動の調整期にいる子どもに「やり方」を教えるには特に必要な教え方です。
これは「人格の力」を身につけさせることになります。

モンテッソーリ教育で育った子ども達に見られる共通点はこの「人格の力」を持っていると言われています。「人格の力」とは、「自分で考えて実行する力、計画する力、見通しをもって行動する力、抑制する力」のような実力です。

これは、わたしも身近に感じた力です。
小学生の高学年になってくると、本当にこの人格の力の差がハッキリします。

うちの娘（モンテッソーリ教育は受けていません）は、学校から帰ってくると、制服のまま寝っ転がって、携帯やバッグはその辺りに投げ捨てて、おやつっぽいパンを食べ始め、アニメを２〜３本見て、習い事行って、宿題を思い出し、深夜まで泣きながら宿題、寝不足で授業中に居眠り、先生に怒られる。そんなグダグダです。（弁当箱や体操服の洗い物も出していません。）もう計画もなにもありません。
このような姿を見ると、きっともう中学生になっても、高校生になっても、就職活動でも、ずーとこんな感じなんだろうと推測できます。トホホ…
つまり、「人格の力」を身につけるために、「随意筋肉運動の調整期」の時期の教育は絶対に見落としてほしくないのです。

この「人格の力」については脳科学的にも根拠があり、前頭葉が…ミラーニューロンが…ワーキングメモリが…とか難しい事はここに記載しませんが、

とにかく、脳が人間の本質的に大事なものを抽出するのは「ゆっくり」なのだそうです。
子どもが「やりたがっている」こと、「難しくて困っている」ことを見極めて、「ゆっくり」「だまって」「して見せて」教えましょう。

もちろん子どもが全く反応してくれないこともあります。
「反省」と「忍耐」でがんばりましょう。

親子が輝くモンテッソーリのメッセージ―子育ち・子育てのカギ

posted with amazlet at 15.01.17

相良 敦子
河出書房新社 
Amazon.co.jpで詳細を見る